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1/4/2023, 2:00:14 PM

「"幸せとは"……」
 駅前のポスターにあった一言が目について、私は思わず脚を止めてしまった。
 こんな、異国で戦争が起こってるようなご時世、帰る場所があって食べ物にも困らず温かくて安心できる場所で眠れる事、なんて一瞬考えてしまったけど、それだけで本当の幸せと言えるのか。立ち止まったままその言葉を、じい、と見つめてしまう。
(ほんとうの幸い…)
 宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』はそれをどこまでも探し求める物語だったか。答えは――――結局自己犠牲ではなくて明確なところは示されない話ということだったと思った。大学の授業ではそんなような結論だった。確か。
(幸せ…)
 そんな御大層な"ほんとうの幸い"じゃなくて、自分のことで考えてみると、友達ももっと欲しいしもっとお給料も欲しいし上司にも恵まれたいしで際限なく欲しい物が増えてゆく事に苦笑いがこみ上げてくる。

 私はまた駅前の雑踏の中を歩き始めた。
 とりあえず、家庭、仕事場、趣味の場所。どこかに居場所があることは恵まれている、とは思いながら。


1/3/2023, 2:05:12 PM

「寝てた…」
 居間のコタツで気づいたときにはつけっぱなしだったTVが勝手に消えていた。
 天候と立地の関係で、家からは初日の出が臨めない事を知っている私は、TVで初日の出を見る為徹夜をするつもりだったが、お酒を呑み過ぎたようだ。
 急いで窓の外を見ると幸いにも辺りはまだ暗く、TVをつけ直すとよくわからない旅番組がやっていた。
 時計を確認すれば朝の5時半。
 初日の出には間に合った。
 私は、ポットからカップに白湯を注いで一口すする。
 今年は中継でダイヤモンド富士が見られるか、少しわくわくしながらTVを見つつその時を待つ。

 大晦日から初日の出までの時間は、一年で一番自由な時間だと思う。

1/2/2023, 1:50:12 PM

 今年の抱負は、旧作を終わらせること。
 特に年季ものの未完成品を終わらせないと次に進めないと強く感じている。
 でも完成の絵が思い浮かばない。
 だから今年一年かけて、終わりの光景を描きに行くのだ。

 卯年に掛けてピョンピョンと話が纏まるといいなあ。

1/1/2023, 12:52:15 PM

 新年。
 今年がまた始まって昨日は去年になった。
 大晦日を過ぎれば元日がやってくる。
 当たり前のことだけど、たった一日変わるだけで年が隔てられる、それがちょっと不思議で厳かな気持ちになる。
 脈々とした伝統の息遣いが感じられて、私は好きだ。

12/31/2022, 2:36:21 PM

「良いお年を」
 年末の挨拶は11月にはまだ早い。
 私にはこの言葉を言えなかった場所がある。12月はとうとう行けずじまいだった場所。
 最近心に沁みた言葉がある。

"居場所は選べる"

 今年一年コロナの合間を縫って通っていた――――11月に行ったきりの場所は、思えば居場所のない場所だったなあとしみじみ感じた。
 社会復帰のために無理矢理しがみついていた場所だったけど、今は、そこでなくてもいいのではないかと思いはじめている。
 来年はもう行かないかもなあ。
 他に当てがあるわけじゃないけど。
 そんなことを考えながらTVを見て栗を食べる。
 大晦日もあと僅か。

 皆様、良いお年を。

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