空が泣いている
わたしと一緒だね
明日は学校サボっちゃおうかなぁ
そしたらちょっとは気にしてくれるかしら
ねぇ、先生。
【空が泣く】
「一緒に花火大会行きましょう。」
君はいつも無邪気だ。行きたくたって行けないだろ。君は生徒だ。
連絡先だって知らない。
♪♪♪〜携帯にセフレから連絡が入った
「これから会える?」
カラダだけの関係、2年くらい続いている。
「花火大会行かない?」
「いいよ。」
恋人繋ぎをして花火をみた。彼女が指を絡めてくる。打ち上がるヒューッという音。光が弾けて散っていく火花。もう、終わりにしなきゃいけない。
帰りの車でラブホテルを検索する彼女に、この関係を清算したいと伝えた。
「どうして?彼女ができたの?私の事嫌になった?」
「もう、会えない。」俺はずるい。
「私の存在は無くなっちゃうの?」
彼女は泣いていた。
「ごめん…。」
セフレはいつでも切れるって思っていた。俺は卑怯者だ。彼女の気持ちは薄々感づいていたけれど、正式に彼女になんて一言も言わなかった。
「気になる人ができて、いい加減ちゃんとしないとって思って…。」
そう言い終わる前に、思い切りコンドームの箱を投げつけられた。あぁ、そうだよな俺が悪い。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「先生、結局花火見に行ったんじゃないですか。」
「たまたま通りかかったんだよ。」花火の画像をわざとみせた。彼女の気持ちを掻き乱したくて。
真っ直ぐな瞳、そのままでいてほしい。卒業したらなんて下心は打ち消されるだろうし、いい男はたくさんいる。俺みたいなのと関わっちゃいけない。
「一緒に行こうって言ったのに。」怒る君も可愛い。この距離でいい。触れてはいけない。純粋で、無邪気で、決して不透明になんてならない。
俺もこれだけは絶対にまもるから。
♪♪♪〜元セフレから
「SEX したいんですけど〜」と連絡が入ってきたけど理性で押し切った。既読スルーしたので、宙に打ち上がって散っていった。
【君からのLINE】
わたしの恋は一向に進まない。
お風呂に浸かりながら沈んでいく身体、大きなため息。
鈴虫の声がきこえる。
気持ちだけが行ったり来たり。
「一緒に花火大会行きましょう。」
精一杯の気持ちを断られたのに、後日花火の写真を私に見せるなんて、意地悪じゃない。
どんな人が好きなのかな、小さくて可愛い女性?
細くて白い女性?付き合っている女性はいるのかな、だったらやっぱり悔しいなぁ。
わたしは、正反対だよね… 命が燃え尽きるまでにこの恋は成就する事はないのでしょうか。
〜高校二年生の女子生徒より〜
【命が燃え尽きるまで】
教室のカレンダーは、いつの間にか9月になっていた。
気の早い誰かの仕業かな
もうすぐ夏休み 高校二年生の夏がはじまる。
私は密かに決心した。次、担任の月田先生と二人きりになった時、絶対に告白する。
月田先生は数学が専門の36歳独身、おじさんだ。かっこいいかと言われるとちょっと違う。身長だってあまり高くない。でも、なんか気になって仕方がない。
「あっ雨。」
遠くで唸る様な雷が鳴っている。昇降口で何人かの生徒が通り雨が過ぎるのを待っていたその時、月田先生がやって来て教室で待機するようにと私たちに伝えた。
私のクラスは私だけだったので、教室に先生と二人きりになった。
「藤谷、雷雨だからすぐにあがるだろうけど家の人に連絡してみたらどうだ。」
「はい…あの…先生、わたし…」
「どうした。」
「月田先生の事が好きです。付き合ってください。」
我ながら唐突すぎたかなと思った、でも今しかない。
「藤谷、先生もお前のことは好きだ。でもそれは生徒として大切に思っていると言うことだ。」
「じゃあ、どうしたら先生の彼女になれますか。」
「藤谷の事は可愛い生徒の1人と思っている。だからそれは変わらないよ。」
雨の音がより一層大きくきこえた。
雨があがって、アスファルトがきらきらと太陽の光で反射しだす。空には薄いけれど虹が架かった。
私は月田先生の事が大好きだ。夏休みもきっと先生に会いに来てしまうと思う。
大人の事情で断られても、そんな事は想定内だから。
「先生、月田先生、夏祭り一緒に行きましょう。今年は花火も3万発上がるみたいですよ。行きましょう、先生。」
教室のカレンダーはいつの間にか9月になっていた。気の早い誰かの仕業なのだろう
これから暑い夏が、はじまる。
月田先生の髭の剃り跡が好き。声も好き。話す間も好き。大きな手も、あんまりはっきりしない顔も大好き。数学は苦手だけど好き。
私だけのものにしたら、それは贅沢?
「…以上になります、夏休みを有意義に過ごし、また9月にこの教室で会いましょう。」
私は早速、月田先生を花火に誘うため携帯のスケジュール表を開く。教室のカレンダーは、気の早い誰かの仕業で9月になってしまっているから。
【カレンダー】
わたしの好きな朝食の1つ。
熱々のご飯に生卵をかける。
卵かけ醬油をかける。
もうこれだけでわくわく踊りたくなる。
彩り大切、刻みネギをぱらぱらと。
最後は鰹節をかけて、いただきまーす。
【踊るように】