#誇らしさ
僕は魔術師を諦めた。
向いていなかったわけではない、むしろ才能はあったほうだ。
僕は魔術師に未来を感じなかったんだ。
そもそも魔術師は
空気中の魔力の気を集め魔法を使う
熟練の魔術師になれば120種類近くの魔法を自在に使える
でも一人前になるには数十年の鍛錬が必要だった。
当日駆け出しの俺はまだまだ30種類ほどしか使えなかったがそれでも大半の人間に称賛されて誇らしさすらあった。
しかし時代が移り変わり、自動で魔法を出力する機械が誕生した。
自動出力は改良を重ね軽量化されていき、
手袋式の魔力自動生成装置が量産された。
誰でも機械で出力生成して魔法が使えるようになり
魔術師不要論を唱える者も出てきた。
悔しかった。
なんの努力もしない人間に種類の数や魔力で負かされ、嘲笑されることが、なんとか努力を重ねても
「どうせアイツも自動生成装置を使っている」と言われのない疑念をかけられた、
次第に努力する気力も尽きていた、
わかってる環境のせいにしているが、結局は僕自身の問題だ、
僕は思っていたより僕は魔術師に情熱がなかったんだ。
#君の奏でる音
その鼻歌
君の奏でる音
少し外れた音程だけど妙に心地よくて
陽気なリズムにどこか寂しさがあり
今でも耳に残って離れない
#終点
これから実家に帰る
電車を3つ乗り換え4時間ほど
特に話す事もない
久しぶり
元気してた
大変だったね
他愛もない話しをして顔を合わせて食事
別に意味はいらない
元気にしてたらそれでいい
最後の電車に乗り換える
この電車で終点まで乗る
終点までなら寝てても大丈夫
#上手くいかなくってもいい
もう何も出来る気がしない、今更頑張れない
『やればなんとかなるなる、とにかく行動してみようよ』
…もう全部面倒くさいな
『上手くいかなくってもいいんだよ
やらないと状況はどんどん厳しくなるよ』
頑張って頑張ってまた心も身体もボロボロにされるのを想像すると身体が動かないんだ
『とにかく立ってここから出るんだ、キミならきっと出来る』
…お前が俺の何を知ってるんだよ
#蝶よ花よ
森の主が息絶えた。
屍は青々とした血を流し。
次第に主の周辺にたくさんの白い花を咲かせた。
夜には白い花は淡い色で輝き
蝶がその蜜を吸い上げていく
蝶よ花よどうか主お導き下さい。