#これまでずっと
最近マスクを付けて外に出る人が少なくなった。
雄一君はもっぱらマスクを付けて外出する。
これまでずっとそうしてきたから癖みたいになってるし、付けて外出すると気持ちの切り替えがし易いそうだ。
一時期は付けてないだけで「非常識」のレッテルを貼り付けられたが、夏場にわざわざ鼻元までマスクを覆っては熱中症になりかねない、何だか立場が逆転したようで、
雄一君は釈然としていない、単に彼が自意識過剰なだけなのだろうけど。
人に迷惑かからないなら、もうキミの自由にしてくれたまえよ。
#七夕
七夕はあまり好きではない。
竹の葉に、心に留めておけばいいようなモノをわざわざ飾り付け、観賞会でもするように仲良くみんなでお願いをを見せ合う、
すがるような醜態が体現したような有り様は、
見てて嫌になる。
何も他人を妬んでこんなことを言ってるわけでもない、望みや夢なんかに愛想が尽きただけだよ。
#友だちの思い出
通学路に花の蜜を吸って一緒に下校。
高鬼にかくれんぼ、かけっこにカードゲーム。
友だちの思い出、毎日のように遊んだのに
大人になってあの子の名前も思い出せない自分が
何だかとても薄情に映る。
でも楽しそうに遊んでたことは覚えてるから、向こうもそんなふうに覚えているのかな。
そうだと少し嬉しい。
#星空
都会は星空が見えないなんて言うけど、毎晩、毎晩星を見て過ごしてる人もそこまで多くないし、見えてもすぐに飽きてしまいそうだけど。
昔、子供の頃に親戚に預けられた民宿
見渡す限りの輝く星空を私は今でも忘れられないで覚えているのは
それだけ印象的だったのだろ。
#赤い糸
古くから縁結びをなりわいとする巫女の神社では
念を結び、糸として、人同士の絆を手助けしていた。
神社の跡取りの彼女は人間同士の糸を見る力があった、元々強い絆で結ばれた「自然糸」を見る仕事
新しく人工的に運命を巫女が結ぶ「結び糸」を作り出す仕事。
依頼は昔、赤い糸を結んだ女性。
今回は糸を結ぶ依頼ではなく糸を解く依頼だった、以前に男性と結んだ赤い糸が雁字搦めでお互いもう顔も見たくないのに、事あるごとに顔を合わせてしまうそうで何が何でも断ち切りたいそうだった。
仕事と割り切るにはなんとも面倒すぎる依頼だった。