人にプレゼントを贈る時は、高いものを贈るより手作りのものを作って渡したい。
ものを作るのが得意なのか聞かれると、どちらかと言えば不器用な方で。
本音を言えばお金でどうにかなるなら、サッと買いたい気持ちはある。
でも、そうじゃないよね。
私はチョコレートアイスクリームを作る。
アイスなんて買えばいい。
高いアイスなんていくらでもある。
でも、私は作りたい。
お世話になった人にお礼をしたい。
〝ありがとう〟を沢山詰め込みたい。
生物が迷惑なら捨ててもいい。
そう思って、自分にできる最大の気持ちを込めて、手間をかけていく。
緩かったものが少しずつ力を込めないと混ぜられなくなっていく。
この都市で、本気で悩んだ時に背中を押してくれた大好きな人たちに感謝を込めて。
こういうものを、気になる彼にもいつか渡せたらいいな。
チョコアイスをお世話になった人たちに渡したら、泣きそうなほど喜んでくれた。
たったひとりでこの都市に来た私を、家族のように大切にしてくれる人たち。
ああ、渡せて良かった。
おわり
六六一、お金より大事なもの
「月が綺麗ですね」
そんな言葉が〝好き〟を伝える言葉のひとつだと知って驚いた。
学が無い方だから知らなかったんだけど、先輩から教えてもらったんだ。
ああ、でも。ちょっと分かるかも。
気になる彼女が月を背負って俺を見つめ返してきてくれた時。凄く胸が高鳴った。
元々色素の薄い人で、最初はロウソクの火みたいに儚さを感じていたから。
月の光を浴びていた彼女は神秘的に見えたし、なによりも誰よりもキレイだった。
昔の人は、よく言ったもんだな。
あれから月夜になると彼女の姿が脳裏に過ぎる。
おわり
六六〇、月夜
ごめんね。
心配かけているよね。
でも、俺が今どうしているかはきっと伝わっていると思うんだ。
救急隊員として、後には引けないものがあるんだ。
――
一緒に住むようになって、長く共に過ごす時間が増えることで言葉にしなくても彼女の言葉が分かる時がある。
もちろん、言葉にする大切さがあるのは分かっているから、ささいな言葉ほど大切に伝えるようにしているよ。
でも、緊張している時ほど言葉にしなくても通じる瞬間があるんだ。
今日は早く帰るつもりだった。
でも、帰る直前に大きな事故で行くことになったから、すぐにメッセージを送った。
終わったらすぐ帰るよ。
でも、今は救急隊員として人を助けてくる。
おわり
六五九、絆
俺と彼女は、どちらかと言えばワーカーホリックのタイプで、俺は彼女の仕事をする姿も好きで、彼女もそう言ってくれる。
もちろんそれだけじゃないよ。
誰よりも俺を大切にしてくれるから、俺も大切にしているし、彼女を笑顔にしたいって思ってる。
彼女とはお互い今の仕事についたばかりの時に出会って、少しずつ格好よくなる彼女を見続けていたんだ。
だから仕事をする姿がより好きになったんだよ。
でもね。
「よし、明日の休みは同じ日だから、温泉行くよー!!」
「え!?」
俺は彼女の前に元気な声で言った。
元々は外出デートって話になっていたから、他の予定はない。
いつも以上に目を大きく開いて俺を見上げる。
「さぁ、支度して。たまにはゆっくり休もう」
そう。
仕事している時も格好いいんだけどさ、たまには息抜きしたっていいよね。
おわり
六五八、たまには
最近仕事が忙しくて疲れている彼女に何かしてあげたいって思ったんだ。
まあ、俺ができることって少ないから、今度休みを合わせて温泉でも行こうなんて考えてる。
でもそれだけじゃなくて、彼女も好きなクリームソーダを作りたいんだよなー。
なんと言っても俺たちを繋げたきっかけだしね。
クリームソーダのシロップはどれにしようかな。
いつものメロンソーダでもいいんだけど……。
俺はクリームソーダ用のシロップを覗く。
やっぱり彼女の好きな青色のシロップで作ろう。
ブルーキュラソーのシロップ、ちょっと高級なバニラアイスも用意している。
うちで作る時はさくらんぼ無し。
クリームソーダのためだけに買うわけにはいかないからね。飽きちゃうのも嫌だしさ。
お風呂も夕飯も準備してあるから、あとは彼女が帰ってくるのを待つだけ。
癒しになってくれたら良いな。
おわり
六五七、大好きな君に