寒くて目を覚ます。
隣で恋人が眠っている暖かいベッドから抜け出した。
ドアを開けると、眩い光と一緒に冷たい空気が入ってガラスが白くなっていく。
この寒さはおかしい。
私はドアを閉めて色々を見ていると、空気の入れ替えで窓を少し開けていたことを思い出す。
開けていた扉を閉めつつ、時計を見るともう起きた方がいい時間だった。
加湿器と暖房をつける。
彼が起きた時にはご飯が食べられるよう準備しちゃおうかな。
そう思った私は洗面所に足を向けた。
凍る……には程遠いけど白くなった鏡を濡らしたタオルで拭いていく。
さあ、新しい一日を始めよう!
おわり
五九〇、凍てつく鏡
クリスマスが終わって今日は休み。
イベント事の時には仕事が忙しくなってしまうので、一段落してようやく貰えた休みだった。
一緒に住んでいる恋人と出掛けようかなと思ったんだけど、「今日くらいゆっくりしたい」と彼女が言うので家でのんびり過ごすことにした。
普段わがままを言わない彼女。
自分のわがままを全力で言う時は大体俺のためだったりするんだよね。
だから今回の言葉を翻訳すると「今日くらいゆっくり休んで」となる。
嫌だとは言えません。
だって大切にしてくれてるんだもん。
そして午後になってから気温が一気に下がり、陽も落ちると外は雪がちらついていた。
「出かけなくてよかったかも」
そんなひと言をつぶやくと、夕飯の用意をしてくれた恋人が首を傾けつつ隣に立った。
「どうしました?」
「ん、君の言うことを聞いてよかったってこと」
彼女を見つめていると自然と笑顔になってしまう。そして俺を見てからふわっと笑ってくれる。
彼女の色素の薄さが外の雪景色と相まって、雪の妖精みたいにキラキラして見えた。
「ありがと」
「私がゆっくりしたいって言っただけですよ?」
そんなことを言いながら、俺の雪の妖精はまた夕飯の準備に戻っていった。
おわり
五八九、雪明かりの夜
私の彼は救急隊員です。
人を助けるお仕事をしています。
尊い日に悲しいことがないように、彼は今日出勤している。
ひとりは寂しいけれど、彼はこの都市の人々を助けるために頑張っているのを知っているから、我慢します。
落ち着いたら彼の時間を私にくれるって言うから、それで手を打ちました。
窓に視線を送ると都市の光がキラキラしている。
どうかみんなが幸せな時間でいられますように。
そして、彼が笑顔で帰ってきますように。
おわり
五八八、祈りを捧げて
過去は思い出したくない。
孤独だった過去を捨てたくて、ここに来たんだ。
ここに来て、家族のような人たちと出会って、大好きな彼と出会った。
私を大切だと言ってくれた人たち。
特別だと言ってくれた彼。
時々、ひとりになると遠い日を思い出してしまうけど。
私はもう、大丈夫。
おわり
五八七、遠い日のぬくもり
夕飯後のまどろみの時間。
恋人とリラックスする時間を作りたくて、アロマキャンドルを焚いた。
ほんのり甘い香りが心地良くて、ソファに並んで座っていた彼に体重を預ける。
ふうとキャンドルに優しく空気を送ると、ほのかに灯されている炎が踊り出す。
「ふふ」
炎のダンスが少し可愛くて、自然と笑ってしまった。
おわり
五八六、揺れるキャンドル