行かないで
行かないで
私を置いて
行かないで

何度も何度も願ったのに
あなたは私を置いて
逝ってしまいました

私は今
あなたの知らない人と生きています

砂時計の音が聞こえる人は
静寂に慣れている人なのか
夢のある人なのか
若人なのか

私には聞こえない

いつの間にか
つまらない大人になったものだ

コーヒーが冷めないうちに
化粧を直して鎧をまとう

熱いコーヒーをひとくち
自分を奮い立たせて
今なら言える
言わなくては

「あなたといる窮屈さより自由な孤独を
　選ぶわ」

長いことひとりきりなので
ひとりきりに慣れてしまい
夜の使い方が上手くなった

本当なんだから

ひとりの詩は山ほど書けて
ふたりの詩は一行も書けやしない