遠くの鳥

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9/15/2025, 1:29:23 AM

会話が途切れそうになると
君と僕のどちらかが夜空を見上げる
そこに月があると
月が見えるね、と言い
そこに何もないと
今日は月が見えないね、と言い
三日月だねとか
かさかぶってるねとか
月の力に引っ張られて
ふたり同じ方を見つめてる

9/14/2025, 7:16:07 AM

ただただ暑い
この夏は空白
失ったものばかりが
陽炎の中で揺れている
濃い色をした花たちが
何かに耐えている
砂漠化していく街で
居場所を探し求めることに
みんな忙しい

9/9/2025, 6:12:25 AM

仲間になれなくても
独自の進化を遂げた
きみはきみになって
僕は僕になった
どちらかが悪くて
どちらかがおかしかったのかもしれない
けれど時代や環境やその他、
自分にはどうにもできない渦巻きの中を
それぞれにもがいて這い出したのだから
もうきみはきみでいいし
僕は僕でいいと思う

9/5/2025, 1:37:20 AM

言い出せない言葉がたくさんあった
あの頃の僕はもういないのかも
大人になった今は
いい過ぎてしまうことの方が多い
言葉で自分を伝えることは
本当に難しくて危うい
言い足りなかったり
無意識に盛ってたりで
誤解を招くことも多々
宇宙人にでもなって
テレパシーを送るよ
火星あたりから
でもそんなことしたら
きみは驚くだろう
混乱して
落ち着いて話なんかできないだろう
だから僕は伝えるよ
僕の言葉で
例えそれが足りなくても
逆に多すぎても

8/31/2025, 1:39:56 PM

誰かが呟いたクーラーという呼び名に
ノスタルジーを感じた
ほどよく冷えた床の上で
猫はアンモナイトになって眠り
太古の夢の中へ駆けだしていく
窓の外には半分だけの月が
はっきりと、
だけど控えめに浮かんで見え
終わりを感じさせない暑い夏が
それでも終わろうとしている


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