9/29/2024, 2:27:09 AM
別れ際に
バイトが終わって家に帰る。寝て起きて次のバイトに行く。掛け持ちをしている自分にとって、バイト以外の時間は睡眠を取るための時間でしかなかった。食事は通勤中に車の中で食べられるものを。浴槽に浸かる時間があるなら睡眠を。どうにか作った休日は動かない身体と巡る思考のせめぎ合いで終わった。
「働きすぎだ」と諭されて。
「ご飯は食べなさい」と叱られて。
「寝れないなら一緒にいてあげるから」と甘やかされた。
一緒にいる時間を増やしたくてシフトを調整した。
話を聞いてほしくて家で食事を摂るようになった。
手を握っただけで嘘のように眠れるようになった。
本当はバイトなんて行きたくない。正社員に向いていなかった自分が、社会生活の為に渋々選んだ道がバイトであって、出勤の前はいつだってため息を吐いていた。
世間的には早朝と呼ぶ、まだ太陽も昇らない時間に出勤する自分に合わせて、一度起きてきてくれる君の声にならない「がんばって」を聞きたくて。「がんばるよ」と応えたくて。今日も今日とてバイトに行くのだ。
別れ際に見る眠たい顔が愛おしい。