お題︰冬は一緒に
誰かと一緒に何かをするというのはあまり得意ではない。他人に気を遣わないといけないし、調子を合わせないといけない。疲弊してしまうから一人のほうがいい。
でももし、気遣いもしなくてよくて調子も引きずられることがないなら、誰かと一杯乾杯がしたい。冷える空気に、澄んだ空に、朝霜にでも、今日という冬の一日に。
お題︰風邪
泣きたくなった。それは鼻を熱くする。
僕の言葉は垂れ流れる液体になった。
ゆらゆら、ゆらゆら、伸びて。
伝えたいことがあったけど、お粥に乗っけた梅干しみたいに酸っぱいから、口にしなかった。
風邪をひいた、僕の代わりに体が言った。
「もう疲れちゃった」。
ぴぴぴ、ぴぴぴ、熱い。
ベッドで思い出すのは、昔、の、冷たい手のひらで、額に手を乗せてみる。
何の変哲もない僕の手だった。泣いてしまいたい。
孤独みたい、喉が痛かった。
お題︰イルミネーション
木の枝に引っかかってるイルミネーションをきらきら見ていたらひらめいたんだよ。イルミネーションで括り付けてぶら下がったら、ぴかぴか光って僕の醜い体も綺麗になったりしないかなって。
メルヘンで可愛くて発見時にトラウマになりにくいと思うんだ。もっとメルヘンにするために風船を飾ったらどうかな? そうだ、クリスマスツリーを置くなんてどう? イルミネーションとピッタリだ。コンセプトとはクリスマス。ジンジャークッキーにキャンディケーンも置いて、甘いものを用意しておいてあげよう。一緒にミルクもどうかな。うん、バッチリクリスマス気分! ならいっそのこと24日の深夜に決行して25日に見つけてもらおうよ。そしたら……メリークリスマス、僕がプレゼントさ! うん、とってもメルヘンでとっても素敵!
メリークリスマス、メリークリスマス!
ハッピークリスマス、ハッピークリスマス!
あ
僕、ひとり暮らしなんだった……誰もプレゼントを見つけられないなぁ。…………でもきっと一週間もすれば異臭で誰か見つけるよね。うん、きっとそうだよ。
メリーハッピークリスマス。じゃあ。
メリークリスマス、メリークリスマス、メリークリスマス!
ぴかぴかイルミネーション
僕は今日イルミネーションに。
首を括る。
お題︰手を繋いで
たばこ吸って指先ダンス
お酒飲んでおめめキラキラ
紙と缶と手を繋いでジャンピング
こうふくまでせーのでダイブ
お題︰ありがとう、ごめんね
「あぁ、わざわざありがとう、ごめんね」
「いえ、ついでだったので」
「うん、美味しい」
毎回コーヒーをズズズと啜ってはあちっと言っていることを知っているので、予め冷まして渡した。
「えーっと、はんこ判子……あ、ここにあるじゃないか。前の僕ちゃんと置いてたんだなぁ」
いつも判子をバラバラの場所に置いて失くしたぁと困っていることを知っているので、予め所定の位置に戻しておいた。
「はい、どうぞ」
「お、気が利くね。ちょうどそれ欲しかったんだよ」
書類や手紙の開封をするいつもの時間になったので、ポストに入っている物を取ってきて渡した。
「最近なんだかスムーズなんだよ。何がってわけじゃないけど、何かがこう、スッと進んでてさぁ……調子いいのかなぁ?」
「そうなんですね!」
「え、なに、なんでそんな嬉しそうなのさ」
そう言って大変不思議そうに目を丸めてこっちを見てきた。そりゃもう、喜ばないわけがない!だってオレが一番あなたを知ってるってことでしょう!嬉しいに決まってる!