たった一つの希望
君の傷になること。
今までの贈り物が全部いらないものだったこと。
人間でないこと。
……私がその他大勢と同じであること。あなたの特別でないこと。
パンドラの箱を開けたみたいに一つずつ私の希望が消えていく。
はじめこそ戸惑い、怒り、悲しんだけれどまだ私に残る道があるのなら全部あなたに捧げたい。
いらなかったのに大切にするよ笑ってくれた。人間でないのに人間を嫌わず私と話してくれた。その他大勢と同じように優しくしてくれた。そして私がいなくなったらこれまでと同じように涙を一粒こぼして忘れるのだろう。
私が死んだ時に流されるあなたの一粒の涙。
それこそパンドラの箱の底に残った最後の希望。
たった一つの私の希望。
Midnight blue
今度書きます
羽が生えたら、と思った。
もし、わたしに羽が生えたなら、きっとそれは真っ白で、されど痛みを伴うのだろう。
肩甲骨のあたりに少しヒビが入って、ぴし、と音を立てた。少しいたいな、と考えた。
音がする。
かた。
どこから響くのだろうと少し周りを見回したが、
かた、カタ……音は続く。空耳なんかではない。
どうにも音がするほうを見つけられなかった。
カタ、カタ……カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタ‼︎
動いている。私の骨が。背のまんなかのようなところにあった骨が、上に向かって動いている。痛みのないことの方が恐ろしい。私はわたしのからだのことをわすれ、唖然としていることしかできない。
そして私は、わたしのからだは。
「――――――――――‼︎」
"ぶわあっ"という効果音が似合うほど、流れ出るように、押し出されるように、白くて毛が生えたものが溢れていく。
いたい¿¿??
いたくない
いたい?¿
棘の刺さったような違和感を背に感じる。いや、棘ではない。これはしろい、しろい白い羽である。
わたしの体よりもずっとずっと大きい、ナニカが空を飛ぶための羽だ。
羽をむしってみた。自分なんだからいいだろう。きっとあなただって髪の毛をいっぽん、好奇心に負けて抜いてしまったことがあるはずだ。
ぶち、と音をたてて羽が抜けた。百円均一で売られているようなふかふかの羽だった。
この羽を根本から折ったら手羽先になるだろうか。
きっとこんな大きい手羽先を食べたことがある人はいないだろうな、と考えてすこし笑ってしまった。せっかく生えたのにもうおることを考えているなんて。きっと私はこの羽を持つ才能はないのだろう。だってこんなにも邪魔である。
もしも羽が生えたなら。あなたに一本、私の羽を折ってあげよう。二本あるとこんなに邪魔だが一本だけなら愛せるかもしれない。そうしたら、もし君が私の羽を受け取ってくれたなら、私と一緒にいっぽんきりの羽で一緒にとぼう。そして、とんで、おちて、こんな羽は捨ててしまおうと叫ぶのだ。