嵐が来ようとも

嵐が来ようとも守りたいものってなんだろう。
真っ先に思いついたのは家族だった。
この考えはごく一般的なものだろうと思う。
例えば、何かあったとき、多くの人がこう考えるだろう。
「家族が心配だ。無事だろうか。」
きっと私もその"多くの人"の中の1人なのだと思う。
しかし、一方で頭の中に別の考えがよぎったりもする。
…本当にそう？と。
私は最低限の良心はあると思う。
思いたい。
だけど、私は薄情で自己中なところがある。
いくら家族でも、悩んでいるとき優しく声をかけたり、物を貸したりするのは、嫌だ。面倒だ。
相手の力になりたい気持ちよりも自分の気力が削がれてしまう、面倒だという気持ちのほうが強い。
そんな簡単なこともしないなんて、なんて悪いやつなんだ。
最低限の良心はもってるってさっき言ってたじゃないか。
矛盾しているぞ。
そういう声が聞こえてくるような気がする。
というかつっこんでくれ！
つっこんでくれたほうが話が進めやすいから！
えっへん。
話を戻すと、私も人間だから、家族に対する感謝の気持ちや情は多少なりともあるはずだ。
極悪人ではない。
本気で病んでるなら真剣に相談に乗るし、
どうしようもなく困っているなら物も貸す。
助けてほしいという気持ちの本気度が高ければ
高いほど力は惜しみなく使いたい、と思う。
ただやってもらえたら助かるな、くらいの軽いことはやりたくない。
面倒だ。
不思議だ。
本気度の高いお願いほど労力は要るはずなのに
面倒だと感じない。
人間ってよくわかんない生き物だな。
よくわかんない。
なんで人間だけこんなに知能が発達しているんだろう。
なんでだろう。
言葉を話すのも、それぞれ独自の文化があるのも、
スマホやパソコンを開発してしまうのも、人間だけ。
なぜ人間だけ、こんなに他の生物と一線を画しているんだろう。
もしかしたらこんなふうに考えるのも
偏った考えかもしれない。
本当は人間も動物の一部で大して他の生物と変わらないのかもしれない。
自分らは他とは違うと過信しすぎているのかもしれない。
それは私が私以外の人間とは何か違うと感じていることと似ているかもしれない。
いや、そもそもそんなこと思ってたっけ。
書いてると自分の考えがよくわからなくなる。
人間はどんなに明るくて素直で良い子だろうと、
皆どこかゲスい部分を持っている。
誰かを妬んでいたり、仲良くしているように見せて本当は相手を疎んでいたり。
いや、後者のは社会で生きていくうえで必要なスキルだから別にゲスくはないのか？
まあとにかく、多くの人が持っているゲスさをひた隠して生きている。
一体誰がゲスいやつは社会で孤立させる仕組みを作ったんだろう。
確かに全員ゲスかったら社会が上手く回らないかもしれない。
でも皆ゲスさを隠して生きているせいで
相手のゲスさを想像してしまってコミュニケーションをとるのが怖くなったり、相手のゲスさに気づいたときのショックが大きかったりする。
そのせいで生きづらい。
皆ゲスかったとしたら社会が回らなくなるのは
派手に生きづらいだろうが、
今の皆ゲスさを隠している状態も
地味に生きづらい。
どっちにしろ、集団で暮らすというのは難しいことだ。
皆同じじゃないんだから、意見も食い違うし、衝突もあるし。
別にそれ自体は悪くないけど、それによって生きづらいのが問題だ。
問題だ、なんて偉そうに言ってる私だが、
今の社会を変えて生きづらさをどうにかしたいなんて気持ちはあるかもしれないけどないに考えの矢印を押し込んでいる。
なんていうのかな。
社会を変えるのは大変だし難しいしめんどくさい。
だからやりたくないというかその労力を使いたくない。
どこまでもめんどくさがりな人間だ。私は。