失われた時間
カチ、コチ、カチ、コチ……
大広間の時計、自分の部屋、リビング、寝室…時計は家の至る所にある
どこにいても時計の音が聞こえてくるそんな家で暮らしてきた
そんな思い出が詰まっているであろう家に今日、久しぶりに帰ってきた
…………
家は静まり返っていて誰も居ないみたいだ
急に水が垂れてきて床を濡らす
『ひとりぼっち、取り残されたみたいだな』
ほぼ1世紀ぶりに帰ってこれた家は廃墟同然だった
少し眠るだけのつもりだった…
それだけだったのに大好きな両親兄妹に置いていかれてしまった
1人眠り、失われた時間はもう戻らない
モンシロチョウ
「お前がやったんだろ‼︎?」
ソウヤから見たこともない怒号が飛ぶ
「なんでやったんだ‼︎。」
と胸ぐらを掴み手を出しそうになり俺は止めた
ソウヤは育てることが好きで植物、動物、昆虫といろんなものを最後まで育てる几帳面なやつだ。
ゲームでもひたすら育てたり強化したりして一つ一つのものに思い入れを持つやつなんだ。
そんなやつだから激怒してるんだ
モンシロチョウは最近のお気に入りの一つで特に可愛がりながら育ててたんだ
幼虫の頃から大切に大切に育てたんだ
それをハルキが意図してか偶然か
逃してしまったんだ。
そんなけだったらよかったんだ
そのハルキは何されるかわからないから
証拠を消すために成虫になったモンシロチョウを捕まえて仕留めてしまったんだ
それをカゴに入れていたんだ
ハルキはこう言って言い訳してた
「俺はやってない。ただ普通に捕まえただけだ‼︎。」
「だまれ」
ソウヤが一括した
俺らは二匹の蝶に狂わせられていく
全ての物事がモンシロチョウのように
黒か白かで片付く簡単な話ではなかったんだ。。
忘れられない、いつまでも。
こんなこと忘れられない
どんなけ忘れたくても…
こんな経験をしたら忘れられないよな
俺は弟の絶望する姿を見ながら
まさかこんなふうに見ることがあるとは夢見も思わなかった。正確には思うこともなかったか。。
いつまでもみててね
いつまでもみてるね
一年後
一年なんてあっという間だ
何をしようがどんなことが起きようが
365日、8760時間、525600分経てば一年は過ぎる
有意義に過ごしても無駄にしても
そんなのはあくまで後の祭りに過ぎない
一年後何をしてるのだろう
どうなってるんだろう
そんなの今はわからない
わかりたくもない
どんなことがあろうと一年後
何かを示せるようになりたいな
それは誇りでも綻びでも
死ぬなよ
初恋の日
俺は初めて恋をした
周りからなんと言われようが恋だと
そうして俺は死体にキスをし
恋人を追いかけた