11/5/2024, 1:55:41 AM
哀愁を誘う
私はあの手この手で君の哀愁を誘う。いつだって笑顔を絶やさない君がなんだか嘘くさく感じたからだ。夕日を見たり、映画に行ったり、夜中に散歩に誘ったり、思いつく限りの手を尽くした。それでも君は笑っている。余命ものの映画を観た時でさえ笑っていたのは怖かったが、そんな君を君らしいと思った。
——そんな日々が二年続いて、気づけば君のことを好きになっていた。もっと君を知りたいと思い、私はさらに思考を凝らす。相変わらず君はいつも笑顔で、しかし私はそんな君が好きなので難しい。
——そんな日々が二年続いて、気づけば君のことを好きになっていた。卒業が間近に迫り、今度は君を悲しませない為にと思考を凝らす。そして、私は君に会わないことを宣言する。寂しいけれど仕方ないのだと、必死に自分に言い聞かせる。だからお願いだ。そんな顔をしないでくれ。
10/31/2024, 7:02:12 AM
懐かしく思うこと
同じ季節は二度と来ないんだと気づいた頃、私は大人になっていた。過ぎた時間に悲しむよりも、諦めのような感情が私を支配していた。そのせいか体に力が入らず、私はソファに寝転がって天井を見上げていた。
暗い部屋を携帯の明かりがぼんやりと照らす。ホーム画面に設定されたツーショット。写真フォルダを開くとたくさんの記憶が残されていた。
懐かしさという喪失感に、私は少しだけ泣いた。
10/30/2024, 12:10:10 AM
もう一つの物語