11/6/2023, 11:35:46 AM
サー。サー。
最近の夜は雨が降っている。
屋根から滴る雨がはねる音を聴きながらベッドに寝転がる。スマホはもう2時間開きっぱなしだ。
「もう寝たのかなぁ、」
そう呟いてみるけど、返事は無い。
確かにね?部活大変だったことは分かってるよ?
けどさぁ、、。
ピコン。
ベッドから飛び起きてスマホを見る。返事が来た。
『外見て』
うん。どゆこと?
疑問に思いながらカーテンを開けると、遮光カーテンの向こうに隠された光が私の目を静かに照らした。
『月が綺麗だよ』
思わず、わぁ、と呟いてしまうほどに美しい月がそこにあった。
そういえば今日は満月だ。いつか一緒に見れたらとずっと願っていた。でもまさかそれが今日だなんて。
カシャ、
雲に隠れてしまわぬうちに。雨が止まないうちに。
少し焦りながら、でもどこか幸せを感じながら返信を打つ。
『もうずっと、月は綺麗だったよ』
いつの間にか夜は更け、雨は柔らかに私のまぶたを濡らした。
ある雨の日のことだった。