秋風。その風の感じ方は日によって違う。
嬉しい日には清々しく
悲しい日には冷たく私に当たってくる。
最近はどうだろう?
冷たく当たってくる日が多いと思うよ。
そんなつもりはないんだよ。
そう思えない。
君が下ばかり向いているから、上を向いてほしい。
だから風を強く当てるんだ。見てほしい。
この秋の空を、秋の木を、秋のすべてを。
こういう風に?
上を向くといつもより、澄んだ空があり
いつもより色とりどりの木々がある。
あぁ。気づいてなかった。気づかせてくれたんだね。
ありがとう。
今年ももう少しだからさ。下を向いてほしくないんだ。前をしっかり向いてほしい。前を向いて歩いて行ってほしい。
また教えてよ。私が下を向いているときに。
「こっちを向いて」って。
私の頬に優しい風がふいた。
「また会いましょう」
そう言って、実際に会う人はどれくらいいるだろうか。日本人にとっては、自然に出る冗談みたいなもん。
外国人の友人が言った。
「日本人はみんなどうして嘘をつくの?」
彼女からしたら、日本人は嘘つきにみえるらしい。
外国では「会おう」といえば「必ず会いに行くもの」になる。正直、面倒に聞こえる。
でも、30代になって思うことは
「もっと人付き合いを大事にしてくればよかった。」
「会おう」と言って会ってこなかった人は何人いただろうか。それから連絡が途絶えた人は何人だろうか。
相手が充実してるのを見せつけられるのが怖かった。
子供がいて幸せそうで、、そんな人が周りに増えていくのが怖かった。
うちには子供がいない。だから会っても気を使わせるだけ。そう思って会ってこなかった。
きっと母国に帰った友人は言うだろう。
「私はあなたと会いたいの。そんなこと関係ない」
自分の周りにある硬すぎる壁を壊してやりたい。
その破片を拾って「こんなものにビビってたのか」と笑ってやりたい。でもね、それが出来ないからこうなったんだよ。
友人に胸をはって「会いに行きます」と言える自分になれるように、そんな大人になりたい。