夜景
ベランダで君と一緒に缶チューハイを
片手にビルが林立する夜空を眺める。
「普通 こう言う時って満天の星空が
見える綺麗な夜景をバックに乾杯する
ものじゃない」君がちょっと僕に対して
不満を露わにする。
僕は、それに対して....
「最高の夜景じゃない!高層ビルの星々の
様に点在する明かり 飲み慣れた
なじみ深い缶チューハイ片手に大好きな
君と飲めるんだからさ!」と大仰な事を
言って僕は、何とか誤魔化す。
今月も財布の中身がピンチの僕が
ホテルの最上階の夜景をバックになんて
夢物語も良い所だ
彼女は、そんな僕に苦笑して
「貴方の大仰な台詞を間近で聞けるのも
自宅のベランダならではだしね!!」と
彼女は、頬杖を突きながら僕を見つめた。
(あ....バレてる....)僕の懐事情を理解して
くれる寛容な彼女のおかげで僕は、
どうにかこうにか生きて彼女とこうして
簡易な夜景を楽しむ事が出来ている。
花畑
小さな花が一輪 路傍の片隅にひっそりと
咲いていました。
小さな花の視線の先には、
綺麗な花畑が広がっていました。
(あ~あ私も皆と一緒に綺麗に咲きたい...)
小さな花の願いは、種となり その種が
風に吹かれて 花畑に飛ばされ
地面に埋まり そしてやがて芽となり
花畑に新しい綺麗な花が咲いたのです。
こうして小さな花は、皆の仲間入りが
出来たのでした。
空が泣く
雨粒が叩き付ける様に私を打つ
あの人は、私を追い掛けてきてはくれない
何となくこうなる事は、分かっていた....
すれ違いの日々 冷え切ったラップを
掛けたご飯を食卓に置いてしばらく待っても貴方は、帰って来ない....
もしかしたら仕事が忙しいのかもしれない
仕方がない事と割り切られたらそれで
良かったのに....
段々とボタンの掛け違いが目に見えてきて
終わりの時がひしひしと足音を忍ばせて
近づいてきていた。
嗚呼....私が荷物をまとめて出て行っても
あの人は、気にも留めない
わざと土砂降りの雨の中出て来ても
後ろを振り返っても あるのは....
私の心を鏡で写したかの様な土砂降りの雨だけだった。
その大粒の雨だけが私の心に寄り添う様に
一緒に泣いてくれていた。....
君からのLINE
ピコンと言う音が聞こえスマホの画面が
光った。
僕は、目を開けてベットから起きあがる。
LINEのメッセージを開いたら君から
怒り顔のスタンプと共に
『まだあ~』と言う呆れて待ちくたびれた
感じの文面が表示されていた。
(しまった~....寝坊したぁ~)僕は、
時計を見て九時をとっくに過ぎて
気づけばもうすぐ十時になろうとしている
僕は、急いで着替えて彼女に
『ごめん寝坊した今から行く』とLINEした
今日は、彼女と十時に待ち合わせをして
映画を見に行く約束をしていたのに....
まさか寝坊した理由が明日が楽しみで
眠れなかったって言ったら彼女の機嫌も
少しは、直らないだろうか....
と言う事を期待して僕は、急いで彼女との
待ち合わせ場所に向かったのだった。
命が燃え尽きるまで
ミーンミーンとけたたましく煩い位に
蝉が鳴く まるでもうすぐ終わりを迎える
夏の様に 自分の命が燃え尽きるまで
その鳴き方を止めない
3日で終わる君の命のカウントダウンを
告げる様に全身を使って全力で
木から地面に落ちるまで
自分の存在を主張する
命の灯火を輝かせて
そんな生き方に美しさと儚さと格好良さを
見出して憧れている自分がいる。