忘れられない、いつまでも。
今日で、あの人が居なくなって一年が
たつが未だにまだ慣れない。
墓前の前で手を合わせ、呟く。
「全く 私ばっかり年を取って行くわ」
なんて、少し不満をぶつけても
もう、貴方は、居ない。
車に引かれそうになった子供を助けて
事故に遭うなんて、本当に貴方らしいんだから....
こうして、お墓参りに来るたびに貴方を
思い出す。
ずっと貴方を忘れられないのはきっと
幸せな事なのかもしれないなんて
思いながら私は、その場を後にした。
一年後
一年後の私は、どうなっているんだろう?
想像が付かないけど 今よりは、確実に
身体は、成長し 大人になって居るだろう.... では、心は、どうだろう?
自分では、心が変わったかなんて
大人になったかなんて分からない
まだまだ子供っぽい所もある所は、
否め無い。
一年後 私の心は、大人へと近づいて
居るのだろうか?
成長して、居るのだろうか?
誰かと共に人生を歩んでいるのだろうか?
一年なんて、長い様でいて実は
あっという間それまでにどれだけ
大人になれて居るか!!
自分を磨いて 一歩目の足跡を私の人生の
道に刻み付けたい。
それが一年前の私の目標だ。
雫の続き
初恋の日
あの日感じてしまった胸の高鳴りを
鬱陶しく厄介で、手放せば楽なのに.....
一度 火が付いてしまった気持ちを
鎮めるのは、酷く困難で
相手を遠ざければ、遠ざける程
高鳴る鼓動は、胸を打つ
だから、なるべく関わらない様に
引き寄せない様に気持ちを誤魔化して
騙し 騙しやって来たのに....
ハイネは、自宅のソファーに寝転がり
さっきから何度目かの煩悶にぶち当たり
ソファーの間を寝転がり体を右に左に
行ったり来たりしていた。
気を抜くと また顔に熱が上がり
あの時の光景が浮かんで来てしまって
しょうが無くなる。
あの時 弱味なんかみせなければ
頭に手を置かれた時に強く拒絶して
立ち去らせていれば あの温もりを
知らずにすんだのに....
そう 数日前に体調を崩し
泣きそうになった自分を優しく抱きしめて
くれたシズクの温もりが消えない
ちょっとした事で思い出すと蘇って来て
何と言うかこう....またあの温もりを
感じたいと思ってしまう....
そんな考えが過る事 数度
ハイネは、そう感じるたびに頭を振り
あの光景を頭から追い出す。
そうハイネは、あの日とは別の意味で
体調が悪かった。
それを証明する様に ハイネはこの所
バインダー局に顔を出していなかった。
魂狩りの仕事もミーナやナイト達に任せ
シズクと顔を合わせない様にしていた。
顔を合わせたら最後 何かの箍(たが)が
外れそうでもの凄く怖い
前は、シズクの髪の毛を強く引っ張ったり
頬を思いっきりつねったりそのたびに
泣かれて嫌われてでもそれが愉快で
腹の底から笑えて可笑しくて
それで良かったはずなのに....
あの日の優しい温もりを知ってしまってから.... シズクのあの柔らかそうな
フワフワした長い髪に優しく触れたい
小柄な身体を自分の腕の中に抱きしめたい
そんな事が頭の中を駆け巡って仕方無い
そんな気持ちが押さえられない
こんなの自分じゃ無い こんな自分気持ち悪い なのに....シズクの顔が頭の中に
チラ付いて離れない。
苛めた時に泣かせた顔 怪我を隠した
時に見せた怒った顔
映画を一緒に見に行った時に見たきらきらな笑顔 どれも彼もが頭の中に過って
離れない。
そんな何気ないシズクの表情が頭の中で
過るたび胸の鼓動が煩い。
そのたびに腹立だしいのに....
(クソッ クソ収まれよ....っ)
手放したいのに 手放したく無い
相反する二つの心がせめぎ合う
あの日一人で魂狩りの仕事を続けて居れば
チームなんか組まなければあいつと
出逢う事も無くて そうしたらこんな
苦しい思いも知らずに済んだのに....
でも知ってしまった今となっては....
そんなのは、嫌だった。
シズクと出逢わない人生なんか死んでも
ごめんだった。
ハイネは、今まで躊躇して、認めたく無かった気持ちを 言葉にして呟く。
「っ....シズク....っ....好きだ....」
小さな声でそう呟くハイネ
そのたった一言が本人を目の前にすると
言えなくて....
目を瞑って早鐘を打つ鼓動に必死に
耐えるハイネ
耐えても溢れる気持ちは、もう決して
止まっては、くれなくて.....
もう誤魔化しが利かなくなって居る事を
ハイネは、自覚する。
次シズクに会った時どんな顔をすれば
良いか分からない
下手に告白なんかして本格的にシズクに
嫌われてしまったら 振られてしまったら
今の自分は、立ち直る事が出来るだろうか
もう自覚してしまった手前 前みたいに
簡単には、触れ無い
シズクを前みたいに苛めて気持ちを誤魔化す事も出来無い
初恋を持て余し 拗らせたハイネ少年は
世界で一番大切にしたい女の子への気持ちを もう上手く隠す事が出来無くなって居た。そうしてハイネ少年は、自分の気持ちが初恋だと本格的に認めるのだった。....
明日世界が終わるなら
嗚呼 とうとう明日か.....
長い様で 短かった この日までの時間
待ちに待った 明日が遂にやって来る。
明日、僕は、緑豊かな 美しく碧い
惑星(ほし) 地球と一緒に心中する。
僕にとってこんなに幸せな事は無い
こんなに光栄で本望な事は無い
環境破壊 温暖化 我々 人間達のせいで
苦しんで来た 地球(きみ)をずっと見て来た。
僕は、それを見るのがずっと辛くて
苦しかった。
だから ねぇ一緒に終わりにしよう
永遠の眠りに付こう。
皆一緒に.....。
君と出逢って
君と出逢って僕の空虚だった心に
明かりが灯った。
誰かにこんな風に自分が変えられる事が
あるんだって知らなかった。
おかげで、一つ問題が出来てしまった。
もう僕は、君を手放せなくなってしまった。
君が居ないと駄目になってしまった。
だから僕の勝手なエゴだけど
僕の空虚な心の穴を埋める為に
僕の心の中の明かりを灯し続ける為に
僕の側にいて下さい
僕と結婚して下さい
こうして僕は、勝手に君に跪いて
勝手に君の左手の薬指に、指輪を
嵌めて 勝手に君を僕の物にした。
君は、そんな僕の勝手な我が儘を
笑って受け入れてくれた。
「これから 末永く宜しくお願いします」と言う言葉を僕に添えて
こうして 僕は勝手に君を捕まえた。