しいな

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7/31/2023, 3:07:42 PM

元々、人と馴れ合うのは好きになれなかった。
恵まれた人間の言うまともな生活なんか送れなかった。それでも生きるために人目を盗んで技術を身につけて。

そうしている内に、なんの運命か兄弟と呼べる存在と出会い、仕事をした。共に腕を磨き、それなりに絆と言うべきものも信じたりもした。
それでも長くは続かなかった。最後は裏切られて疑心暗鬼に、こと更に他人なんか信じないと決めて生きてきたのだ。

いつのまにか--誠に不本意な事だが、袖振り合うも多生の縁。一期一会。君と出会えたのも運命に違いないと言う、至極変わったヤツらと旅を始めた。
何の因果か世界中を旅して(付き合わされたの間違いだろうか)最後に対峙したのは、かつて兄弟と呼んでいた存在。それなりの時間を共にした仲間。

--命まで奪うつもりはなかった。直接その手を下したのは皮肉なことにあいつの部下だったわけだが。そう、あいつは裏切られて死んだ。あの時、もう一度話をしていたら変わっていたのか。まあこれ以上は死人に口なしだろう。

冷たくあしらっても、呼びかける声を無視しても問答無用で隣に並んでくる奴等--仲間がいる。この事実だけは覆すことが出来ない。放っておくなど、あいつらには無理な注文だろうが。

だから、今だけでいい。1人でいたいんだ。