神様だけが知っているなら、
誰も知らないってことだろ
ちがうのかい?
そうじゃあないんだ
神様だけが知っているっては、
神様はすべてを見てるよって話なのさ
なんだ見られて恥ずかしけりゃ、お行儀良くしてろってことか
この道の先に何があるかだってぇ
そんなもんは自分で行って確かめな
答えを聞いて気にいらなきゃ別の道にすんのかい
そもそも、そいつがホントだってどうやって確かめんだい
まあ、道を進むか
戻って別の道に変えるのか
そいつはぜんぶ自身で決めることさね
もちろん、いつまでも留まって骨を晒すのも自由だがね
半年前には優しかった君の眼差しが、いま僕を焼き殺さんとする。
君が変わったのか、僕が変わったのか。
時の流れに変わらぬものなどないのか。
遊んでいる子どもたち。
手をつなぐ親子。
校庭を走る憧れのあの人。
木もれ陽と羽を休める小鳥。
青い空と穏やかな波。
部屋を染める夕日と長く伸びた影。
月と地上の灯り。
誰もいない道。
誰かがいる道。
コンクリートとアスファルトと電柱。
窓越しに見えるあちらの世界。眩しくも、美しくも、日常的でも、無味無臭でもあるあちらの世界。
しかし、透明であっても窓は確固たるものとしてあちらとこちらを隔てているのです。
こちらよりあちらが素晴らしいなんて口が裂けても言えません。それでも私にはあちらが好ましいのです。
あなたもご一緒にどうですか。
さあ、窓をぶち破り外に飛び出すのです!なんて言ってるわけではございませんよ。窓に背を向け、あなたが扉を開けるのをお待ちしております。
見ることもできない、確かめることもできない、それでも誰かと繋がっていると信じたい、それがあなたとだったらどれほど嬉しいことでしょう。
いえいえ、見ることができず、確かめることもできないからこそ、繋がっていると、あなたと繋がっているかもしれないと望むことが許されるのです。
この見えない糸は希望なのです。
一人ではない、この糸の先に、私が、そして私を待ち望む誰かがいるという希望なのです。
だから、どうか私にその糸を見せないでください。希望が掻き消えてしまわないように。