兎角この世は生き辛い。
己の振る舞い一つとっても、しがらみの糸で雁字搦め。
おちおちくしゃみも出来やしない。
明日世界が終わるなら……
薄壁一枚隔てた隣人の罵声なんてもんは平気のヘイ。
思い切りラーメンを啜って、鼻に入った湯気と胡椒で
思い切りでかいのを一発、かましてみたいね。
【お題:明日世界が終わるなら……】
真夜中の静まり返った月の下
耳を澄ますと
銀河鉄道の音がする
【お題:耳を澄ますと】
クッキーをオーブンから出す。
まだほんのりやわらかい、できたてを味見するのは作り手の特権だ。
どれひとつ。
手に取ったところで、足元からの視線に気付いた。
「バレたか。…しかたないな、二人だけの秘密だよ」
少し冷ましたクッキーを渡すと、息子は珍しく黙って、にんまりとした。
いつもはうるさいくらい遊び回っているくせに、口元に人差し指を当ててから、ばくりと一口で証拠隠滅。
息子よ、つまみ食いの格別さを知ってしまったね。
おいしく出来たクッキー達はしっかり冷まして、3時になったらおやつにしよう。
【お題:二人だけの秘密】
別れも告げずに去った。
君の心が離れているのは知ってた。
聞きたくなかった、言いたくもなかった。
臆病な自分に嫌気がさす。
なによりも好きだった君を綺麗な思い出のまま胸に抱いていたいとか、エゴの極みだと嫌がられそうだ。
自分の中で完結した優しさだけで、きっとこの先を生きていくのだろうけど。
もう、君と会うことはない。
遠くから幸せを願ってるよ。
【お題:優しさだけで、きっと】
散らばった毛糸玉をかき集める。これじゃない。これでもない。こんなにあるのに、欲しい色だけがない。
いつもそう。
わかってる。言い訳半分、蒐集癖半分。
だって理想の色をふんだんに使って編みたいんだもの。
作る前から完成まで、どのシーンで切り取っても色に溢れる編み物が好きだから、自慢の毛糸玉コレクションをいちばんカラフルに仕立ててみせたいの。
作りたいものばかり溜まっていって、ひとつも完成しやしない!
【お題:カラフル】