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4/7/2023, 5:55:46 AM

「私とあなたじゃ住む世界が違う 第七十七話」

志那は、牢屋を打ち破ろうとしました。牢屋の檻は、頑丈で特殊な鉄で出来てるから、そう簡単には壊れないだろうと思っていましたが、一撃で打ち破る事が出来ました。
「スゴい…闇覚醒、恐るべし」
志那は、空白の元へ向かい、
「トーチャフィールド!」
と、空白の助太刀をしました。空白は、大勢の信者達に囲まれていました。ロブスターが、不気味なオーラを醸し出し、トリュフが空白の動きを封じていました。
「…トドメだよ?」
「今でっせ、ターキー!」
「ターキー、捕獲準備完了!」
キャビアが拘束具を出すと、ターキーは、
「迷い猫の捕獲なんさ、お茶の子さいさいです」
と、空白にムーブロックを掛けました。
「動けない…」
その時、志那がターキーを始めとする信者達に近づき、
「待ちなさーい!」
と、信者達をワンパンで倒して行きました。
「たかが、一般人の分際で…」
ターキーが、志那を気絶させようとみぞおちに一撃食らわそうとすると、拷問器具が纏わり付いて気が緩みました。空白は、間一髪の所で逃げる事が出来ました。
「志那、ありがとう。志那に闇覚醒を伝授させて良かった」
空白は、志那の方を見て、少し微笑みました。

「くっ、あの娘とは言え、この術は耐えられまい…」
信者の一人は、志那の背後から
「オペリターン!」
と、術を掛けました。
「この術は、手術前の状態に戻す物。手術前はさぞかし酷い状態でしょう…」
信者の一人は、「ククク」と笑いました。
「志那、持病は無いか……?」
空白は、心配そうに志那の方を見ると、一人の筋肉質な少年が立っていました。
「その男…志那か?」
「志那ー!大丈夫?!」
由里達が合流し、とスノーを人質にしたグラックとポールが後を追って来ました。
「志那…嘘だよね…?あの志那が目の前に居るなんて…!」
由里は、男の姿になった志那を見て、感動の涙を流しました。
「私の……彼氏が帰って来た…!」
「何だ?!あの少年?」
グラックは、志那を見て一瞬、気を取られました。志那は、気絶したスノーを見るなり、
「そこの二人、スノーを離せ」
と言い、電気ベッドに二人を貼り付けようとしました。だけど、間一髪の所で二人は交わしてしまいました。
「この少年、拷問使いか…?いや、まさかな」
「グラックさん…この少年、あの娘じゃないですか?」
グラックとポールが話していると、志那は
「なら、力尽くでやるぞ…!」
と、二人に格闘技を仕掛て来ました。
「ま、卍固め?!」
「飛び膝蹴りか…ぐは…」
まるで格闘ゲームのような地下格闘技を、志那は二人に次々と繰り出しました。
「コレでも開放しないなら、足を切るぞ」
志那は、大きな刀を出現させると、二人の足を切ろうとしました。
「『リ』は止めてくれ!」
「命乞いをするのか?スノーは気絶するまで痛い目に遭ったと言うのにか…?!」
「志那、この二人は僕がトドメを刺す」
空白は、異空間ホールを出現させて、グラックとポールをそこに引きずり込みました。ホールから吐き出された時には、二人共気絶していました。解放されたスノーは、その場に倒れ込みました。
「スノーさん、大丈夫ですか?今、介抱します!」
章司は、スノーの手当を始めました。
「志那、歌い手達は、もうすぐココに来る。この姿だとマズイから女に戻す」
空白は、時を戻す術を使って、志那を女の姿に戻しました。
「あ…元の姿だ」

「突撃だ!」
警察官が、次々とアジトに入って来ました。警察官が信者達を逮捕して行く中、軍人達はその場を後にしました。
「志那とか言いましたね…いつか戦ってみたい物だな!」
「ケブバガミ幹部のグラックとポール、殺人、誘拐及び諸々の罪で逮捕する」
ベージュの肌、群青の目、青い髪、長身のノリの良いお兄さんな警察官は、幹部二人を連行して行きました。
「あの…お巡りさんも自己紹介するのでしょうか?」
梨々華は、警察官にふと聞きました。
「勿論!俺はベテルギウスだ!」
ベテルギウスは、そう言い残すとその場を去りました。
「……志那が男だったって事は、ココに居る私達だけの秘密ね!」
由里は、人差し指を口に当てました。
「志那は、何故女になったんだ?性別違和でも無さそうだが…」
空白は、疑問に思いました。
「うーん、話すとちょっと長いけど…周りの時を止めてもらっても良い?」
志那は、空白に周りの時間を止めてもらうと、自分の過去を話し始めました。
「中学時代の話になるんだけど、私と由里は元々恋人同士だったんだ。だけど…梨々華、あの話して良い?」
梨々華は、縦に首を振りました。
「梨々華が付き合ってた男って、半グレなワケ。その半グレに自慰動画取らされて、色々脅されてたから、その動画消してもらう条件にソイツの父親の病院の手術の実験台になったの。たまたまそれが性転換手術だった……って事」
志那は、少し寂しげな表情をしていました。
「そりゃあ、女同士で恋人なんて変だから友達に戻る事になったし、女として生きるんだから、喋り方とか文化とか覚えるの大変だったよ。一番苦労したのは、術後の痛みと性癖を曲げる事だったね。女だったら、男を愛さなきゃいけないし」
「……苦労したんだな。僕達には到底理解が及ばない所まで」
空白は、考えていました。
「もう、そろそろ時を動かす。良いか?」
「良いですわよ」
空白は、時を動かしました。
「志那!大丈夫かー?!」
歌い手達が、アジト内に入って来ました。
「あれ?信者達は?」
キトンは周りを見渡し、フロンティアウォーカー達は信者達が居ない事に気付きました。
「応急手当が終わったから、スノーさんを病院まで運んで行って下さい」
章司は、フロンティアウォーカー達に言いました。
「スノーさん、酷い状態です…」
ピエロは、スノーの状態を見て青ざめました。

「……ん?」
スノーが目を覚ますと、病院のベッドの上でした。
「オレ、ケブバガミ達に拷問されて…」
「スノーさん、そのまま、そのまま」
「まだ、傷は完全には治ってないからな」
スモークとカインドは、スノーを落ち着かせました。
「安心して下さい。ココは病院です」
「ケブバガミ達は、みーんな捕まったよ」
「でも、教祖は逃げちまったけどな」
ピエロとキトンとガバードは、自分達の知ってる限りの情報をスノーに伝えました。
「ああ、悪い奴はいつまでも悪事は出来ないって事だ!」
ベテルギウスが病室に入って来ました。
「……一人の戦力じゃ太刀打ち出来ひんし、何も出来ひん事が分かった。仲間が帰って来るまでの間やけど、オレをフロンティアウォーカーの一員にしてくれへんか?」
スノーは、フロンティアウォーカー達に頼みました。
「良いですよ。俺達も歓迎するで」
ロードは、快い返事をしました。
「仲間は多い方が良いモンな」
「みんな、ありがとな」
一方、遠くの方でベテルギウスを見るラピスの姿がありました。
「警察官……悪を退治する職業ってカッコイイですね…!」
ラピスは、警察官に憧れながらその場を去りました。