意味があろうと
「復讐程、意味がないことは無いよな」
昼休み、一緒にご飯を食べていた優馬は友達の海斗と他わいもない話をしていた時にそう言った。
海斗が復讐って意味があると思うか?と興味本位で聞いたからそう答えたのだろう。
「だよな。でも…虐めとかに遭ってる奴には違うのかなってちょっと思う」
「当たり前だろ?俺たちには意味が無いけど、そういう奴等からしたら、散々自分を苦しめてきた相手に復讐をすることがそいつらにとっては意味があることなんだよ」
でも…と優馬は窓の方を見ながらポツリと呟く。
「それでも、結局は破滅するんだけどな。虐めた奴もそいつに復讐した奴も」
優馬の言葉に海斗はただ、「そうだな」と返すことしか出来なかった。
あなたが居たから私は
子供の頃、私はあなたに出会った。
幼い頃のあなたはとても素敵な人で、私はそんなあなたに惹かれていたのかもしれない。
あなたの輝きで私は暗い影に落とされてしまう。
だから、あなたに醜い嫉妬心を向けてしまう……私はそんな自分がいつしか嫌いになったの。
けれど、そんな私を輝かせたのはあなた。
あなたが居てくれたから、私は輝くことがきでる。
一番星のように輝き続けるあなたと……。
私はあなたと共に輝きたい……そう思わせてくれたのもあなたなのだから。
柔らかい雨は
今日の天気は雨だが、かなめは何処か楽し気な足取りで道を歩いていた。
今日の雨は何処か柔らかくて……心地よいと思ったから。
強い雨は嫌いだが、この柔らかい雨がかなめは好きだ。
それは天の神が舞っているような気がしているから。
天の神が雲の上で舞い、植物や花々などに元気を与えているように感じるからだ。
その舞いの力で蕾が綺麗な花を咲かせ、植物が元気に育つ……だからかなめは柔らかい雨が好きだ。
洞窟で
僕は今、暗い洞窟の中で彷徨っていた。
登山に来たのだけど、道に迷ってしまい、何処かに道がある筈だと思い見つけた洞窟。
入ってみたは良いけど、何処に進んでも出口のような物は見えて来ない。
一応、懐中電灯は持ってきていたため今、自分が何処にいるのかはわかるのだけど。
けれど、どこに進んでも行き止まりだ。
どうしよう……出口が見つからなかったら僕はこのまま、誰にも見つけてもらえずにと最悪な想像をしてしまう。
けど、僕はその考えを振り払い、諦めずに出口を探した。
その結果、一筋の光が見えた。
失恋
たけしは今日、失恋した。
好きだった同級生の女子に告白をしたのだけど、彼女には既に彼氏が存在していたらしい。
見事に振られてしまったたけしは背中に哀愁を漂わせながら夕闇の町を歩いていた。