お題「好きな色」
昔から心惹かれる色があった
理由なんて何もないのに
自ら選ぶ色はその色ばかり
今もそう、嗜好は変わらない
ただ好きな色と合う色は
必ず合致するわけじゃない
勧められる色
似合うと言われる色は
意に反するものばかり
決して報われない片想いのように
どんなに好きだと求めても
私には誂えてもらえない遠い色
お題「あなたがいたから」
どうにかここまで来ました
迷いもたくさんありました
この先もたくさん迷うのでしょう
それでも
あなたという存在をコンパスにして
また進みたいと思います
この世に生を受け
この世とお別れするまで
あなたがいたから
私はここにいられるのですから
お題「あいまいな空」
どこまでも続く薄墨色の雲
本来の青色はことごとく塗り潰され
あたかもそれが空だと言うように広がっている
色をなくした空には
同じように色をなくした地上があり
空と地の境界線が滲んでぼやけ
梅雨時にはこんな不思議な風景を作り出す
お題「あじさい」
子供らが遊ぶ広場の一画に
その花が両側に植えてある小道がある
ほんの数十歩の道のりだが
日ごとつ色づく姿に
大人は足を止め梅雨らしさを鑑賞している
低木とはいえ、ちょうど子供が隠れられる高さ故
かくれんぼの恰好の場所のようで
花と花をかき分け踏み入る姿を何度も見る
無惨に散らされた、または落とされたその花に
子供の元気さとの対比に哀れさを感じる
せめて道端に落ちているかたまりを
土の上に戻してやるぐらいしか出来ない自分も
また哀れな大人だと自嘲する
お題「好き嫌い」
花びらを一枚ずつ抜いて
スキ、キライ、スキ、キライ
よくある簡易な恋占い
花にとってはたまったものではないけれど
一度や二度した覚えがある
花の種類によって違いはあるが
どうも花びらの枚数は奇数が多いらしい
ならば必然的に
「スキ」から始めれば「スキ」で終われる
とても都合のいいものになる
花びらを一枚ずつ抜いて
スキ、キライ、スキ、キライ、スキ!
純粋に喜べた昔の自分に耳打ちしたい
とても意地悪な感情
「それってね・・・」