お題『星になる』
あのいちばん綺麗な星に、名前をつける。
きみの名前をつける。
きっと、あれにきみの名前を。あの星に既に、皆が呼ぶような名前があったとしても、ぼくは、きみの名前であの星を指さす。
星はいつか死ぬ。
きみもいつか死ぬ。
少しでも、君の名前を長く呼びたい。
少しでも多く、君の名前を呼びたい。
そうして、星になる。
お題『手放した時間』
手の中の懐中時計がカチ、カチ、と鳴いていた。
私は待っていた。来ないあなたを。とっくにティーカップの中身だったはずのレモンティーは消えて、カップの底に咲くバラは柔らかい赤色を見せている。
暖かな装いをした人々が、靴底を少しずつ減らしながら、忙しなく歩みを進めていく。どこかへ行く彼らを横目に、私は座って、待っていた。今の時間、出来たことが。やりたかったことがあったよなあとぼんやり考え込む。
今の時間でもう少しメイクを凝ることが出来た。
今の時間で、ニュース見られたなとか。
手羽した時間は戻ってこない。本当に、戻ってこない。
私が決めたことかと言われたら、そうだ。待つ選択をしたのも、しないことを選択したのも私だ。
貴方を思う時間は決して嫌ではない。
でも、貴方が私を考えていた時間が少ないのは、悲しい。
お題『祈りの果て』
私たちが手のひらを合わせたり、指をおり、「どうか」と祈り続けたその先には何があるだろう。
祈りとは、私たちの刃だ。それは私たちを脅す。
歩けと。私たちの勝手な願いで、きみは傷つきながら歩くのだ
お題『言い出せなかった「」』
言えなかった言葉があった。
言えなかった想いがあった。
言わなかった言葉、思いもあった。
「 」は、今なら、言えますか?
お題『ページをめくる』
ぱらり、はらり。
次のページは?
一体何があるかな。
足を進める音がする。文字の草を踏み分けて、あなたは進むのだ。