お題『8月31日、午後5時』

蒸し暑い風がぶわりと顔に当たる。
暑い、嫌だ。顔の横を汗が滑る。
泣いたような跡が残った。
遠くで夜が群れている。ごうごうと襲いかかろうとしてくる。
真っ赤な日差しが私の肩を掠めた。じりじりと焼かれた。
地球が終わる。

お題『心の中の風景は』
いつも同じじゃない。
荒れたりもする。
肥沃だったりもする。君の言葉一つで私の心の風景は変わるのだ。

お題『夏草』

駆け抜ければ沢山飛び出してくる虫も、
踏みしめればさっ、さっ、と鳴る音も、
思わず避けてしまう小さな花も、
足につく水滴も、
服につく葉も、
何も気にせずただ馬鹿みたいに意味もなく風と駆け回ったあの頃は、全てが、本当に全てが私の友達だったのだ。

お題『ここにある』

私の全てはここにある、と手を添えるとき、頭ではなく胸を指す。
なぜ人間は心臓を指すのだろうか。心臓が考えている訳では無いのに。 それはそこにある、だけ。
では、私はどこにあるのだろう。

お題『素足のままで』

素足のままで、柔らかい土の上を走ったことがある。
ふむ度に心地に良くて、掘ったり、盛ったり、運んで遊んだ。
気持ちが良かった。
あれが好きだった。
いつの間にか、靴のままコンクリートを踏むことが多くなった。素足でいるのは、基本家の中だけ。小さい頃のような土は、どこへいったんだろう。