お題『遠雷』

肩を強ばらせた。
空から降る電気がごろごろと音を立てている。遠くとは言え、足音のようで嫌だ。空の機嫌が悪いらしい。
遠くの雲がぴかりと光る。切れかけた蛍光灯のように。
遠くで、腹を立てている。

お題『Midnight Blue』

星を見た時、隣の町のあかりがぼんやり空を照らしていた。
空と町あかりの境目は、青だった。
知っていますか、月明かりが強い満月の日は、空が少しあおいのです。

お題『君と飛び立つ』

帰省した時、蝶が私の胸に寄ってきて、ひらりと逃げた。

家から発つ時、恐らく同じ蝶は私の頭の上を飛んだ。

またくるね。

お題『きっと忘れない』

私はきっと忘れない。
君と話したこと。
君の好きだったもの。
君の誕生日。

お題『なぜ泣くの？と聞かれたから』

なぜ泣いてるのか？

あの家の子供が、亡くなったからだよ。
それと、彼女は推しのキーホルダーを落としてしまったんだ
あの子はさっき、愛犬をからかわれてしまったし
あの男の人はお昼ご飯を食べ損ねてお腹を空かせている。

誰の不幸だって、悲しいでしょう。