お題『酸素』

呼吸をする。

この息のしづらい世界で、生を謳歌するため。

鼻歌を歌う。

時折、口から。

時計の針よりも静かな鼻歌を。

お題『記憶の海』

人間の脳には記憶の海がある。
時折、流れ着いた物を手に取って見つめる。飽きたら、そこへ置いて、またふらふらとあるく。必要なものを探す時もある。
今欲しいものを、波からすくい上げて、見つめ、次のものを探しに行く。

お題『ただ君だけ』

他の誰からなんて言われてもよかった。
どんな視線を受けようがよかった。
君がぼくをみていて、素敵ねと言ってくれるなら。
君だけが僕を僕で居させてくれる。

お題『未来への船』

あぁ、こんばんは。いや、こんにちは、でしょうか？
お代は頂いております、どうぞお乗り下さい。
どこへ行くか？さあ。私も分かりません。でも行かなければならないんです。

お題『静かなる森へ』

森へ行こう。
言葉の葉が、草が、生い茂るあの森へ。
酷く静かで、誰からも目を離され、口を噤んで、やっとそこに在ることを許される。
誰かのタイムマシンへ乗りに。
誰かの生きた証を、確かめに。