お題『新しい地図』
マップのアプリを開くと、現在地は知らない場所。自宅の場所以外、ほとんど全く分からない。行ったことのない所だ。
新天地で一人暮らしをやっていこうとは思ったものの、これが案外、キツかった。
想像以上に地理が分からない。
ゴミ出しの日も分からないし、どれくらい厳しいものなのかもおおよそ検討がつかない。
知り合いも、居ない。
ふらっと気まぐれな猫のように歩き出して見たものの、どこで曲がるのか、どこが行き止まりで、どの道は車が通れるのかが全く分からない。
お店の名前は明記してあっても、ほとんどが自分にとって白紙の地図。外装しか知らないお店が沢山ある。
これからたくさんの季節を通して、知っていくことだろう。
お題『好きだよ』
手軽に愛を謳えたら良かった。
手放しに、無責任に、「好きだよ」「愛してる」「そばにいてほしい」「恋愛対象として見て」と、囀ることが出来たら。
私は怖かった。
君から頷かれるのも、君から首を横に振られるのも、怖かった。
だって君から答えを聞いたら、伝えたことが正解だったのか、不正解だったのか、決まってしまう。そんなの、嫌だ。
こんなに好きだからこそ、手放されたくない。君のことも、失望したくない。
傷付きたくないから、傷付けたくないから、静かに一人で、月を見上げる。
本命では無い月へ、「好きだよ」なんて、鳴くのだ。
お題『桜』
桃色のカーペットが敷かれる時期。
あの子が腕を振る度にこぼれるそれは、あなたの頬を、髪を、撫でる。
ずるいなあ、似合っていて。
お題『君と』
君とみたい景色が沢山ある。
芽吹く地面、焦げ付く日差し、落ちていく枯葉、凍える空気。
私の近くにいて欲しい。君とみたい。君でなくては、ダメだ。そばにいて、君とその場で、みたいのだ
お題『空に向かって』
靴を飛ばす。より遠くに、より、高く。友達よりも、もっと。
ブランコに揺られて、空まで近く。