12/4/2024, 12:53:58 PM
夢と現実
暗闇の中、貴方が自殺する夢を見た。
何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、
腹にナイフを刺しては抜いてを繰り返す貴方。
夢の中の俺はその行為を止めることが出来なくて、
ただ、見ているだけ。
貴方の温かい体は信じられないくらい冷えきって、
貴方の腹部からドクドクと流れ出す鮮血は赤黒く、ルビーのように輝く貴方のそれを、不覚にも綺麗と思ってしまいました。
鮮やかな赤に包まれた貴方を抱え、
俺は宛もなくさまよい続ける。
歩き続けていると、僅かな光が見えてきて
俺は急いでそこまで走りました。
すると、直視できないほどの光に包まれ、
先程まであなたを抱えていた重みは消え去りました。
そしてゆっくり瞼を開くと───
俺は血濡れたナイフを持っていて、
目の前には夢で見た状態の貴方が床に横たわっていた。
「べる………………なん、で……………………」
手をぴくぴくと震えさせながらこちらに向ける貴方。
やめてくれ、そんな目で見ないでくれよ。
俺に現実を向けないで。
ああ、これもきっと夢なのだな。
俺は瞼を閉じた。