〚元気かな〛
あの人が、15年前空へ旅立った。
_わすれないで。_
最期に僕へ、のこしてくれた言葉。
忘れるわけないよ。
日々いつも、あの人のことを考えてる。
戻ってこないかなとかさ。
前にいたらいいのにとか。
お墓に喋りかけても、声は届かないのね。
僕の声も聴こえないのかもしれない。
いっしょにいようって。
青空の下で、約束したよね。
ミサンガをつけて夜まで沢山喋ったよ。
でもいつの日か、あの人はいなくなっていて。
僕も鏡に写されなくなった。
実家のリビングには、僕の数々の写真が
置かれるようになって、そのとなりには
だれのかわからないお骨が置いてある。
あしたもすてきな日になりますように。
〚遠い約束〛
"来世もいっしょにいよう。"
そう言われた、15年前。
今もその頃の、教室にいる僕。
忘れられない、かなしみ。
あの人が僕よりも、先にはやく旅立った秋。
未解決事件として世に知られた。
今でもそれが現実だと想えなくて、あの人が
いないのだと実感できないまま、あのときと
おなじように教室にいてしまう。
歳はとらないさ。
あのときの年齢と同じだもの。
あしたもすてきな日になりますように。
〚フラワー〛
雨が降る春の日。
黄色のお花からぽたぽたと、お水がおちる。
次々と道に水たまりができた。
それを長々と眺めてる。
例え車にひかれようとも、かなわない。
僕に声をかける人もいない。
僕がみえない。
ただ道を歩いて、鏡のある洗面所につく。
洗面所で顔を洗おうとしても、水はすくえない。
鏡をみつめてれば、身体も消えていた。
鏡にうつしだされない、僕。
リビングに置いてある骨のとなりには僕の写真が
置いてあって、そのとなりにはスカビオサの紫色の
お花がぽつんと置いてある。
春風が僕をくすぐる。
あしたもすてきな日になりますように。
〚新しい地図〛
しらない国がそこに書いてあった。
まるでパラレルワールドのよう。
僕しかしらないみたい。
その国には、僕しかいなくて他にだれも存在
していなかった。
その国の存在を皆に知ってほしくて。
地図で教えようとしたけれど、その地図だった
ものはただの白紙へと変わってしまった。
僕や友人もなにもわからなくなり。
気づいたときには、気を失っていたよ。
あの人が言ったの。
"俺もその国にいきたい。"
あしたもすてきな日になりますように。
〚好きだよ〛
_すき。_
その一言を、あの人に伝えられなくて。
僕のみせた好意も伝えられなかった。
彼が友達と笑ってる。
しあわせそうに。
先生に無視される日々。
前は、ちゃんと接してくれたのに。
同級生が先生に言ったよ。
"あいつは、人間じゃないです。幽霊ですよ。"
ってさ。
そのころからこんな日常。
その周りの同級生にも、僕がみえないみたい。
あしたもすてきな日になりますように。