物憂げな空
今日も"何もしない"をする
毎日見ているWebサイトを覗き
ほぼ定型化されたスマホゲームをこなす
ひと晩経って回復している漫画アプリも忘れない
テレビをつければ
お馴染みのタレントが知らない町を旅していたり
がやがや盛り立てる芸人が出るバラエティだったり
どこも同じような話題ばかりのワイドショーだったり
気の向く頃合いで散歩に出る
いつもと同じような道のりを歩いては
ショッピングモールで買う気もない商品を眺める
眩しい空にくしゅんとくしゃみをする
お天道様はとても晴れ晴れとしている
でも私にはどこか物憂げな空に感じる
どこか遠くへ旅行に出掛けたら
友人とわいわい遊んでみたら
宝くじで3億円当たったら
気分は晴れるのだろうか
でも残念かな
"何もしない"という予定でこの先の休みも埋めている
明日は仕事だ もう寝よう
小さな命
―――目が合ってもいつも無視するよね
久しぶりに集まった同級生との飲み会で
指摘された言葉が現在も心に引っ掛かっている
気力を失くし陰鬱とする勤め先からの帰り路
乗り換え駅から乗り込むこの時間の電車は
朝ほどではないがほんの少し混み合っている
最寄り駅までそれほど時間は掛からない
何となしに車内広告や辺りを見回していると
母親に抱っこされる小さな顔に気が付いた
きょろきょろと首から上を必死に動かして
辺りを物珍しそうに見回している
時折小さな腕を伸ばしては何かを掴もうとしている
凛と見開かれたその瞳の先に
この世界はどのように映し出されているのだろうか
やがて2つの目が自然とこちらの方を向く
後ろめたいことなど何も無いが
思わずゆっくりと目を逸らしてしまう
誰とも目を逸らすようになったのはいつからだろうか
自分に嫌悪感を抱きながら最寄りの駅で降りた
Love you
誰に教わったわけでもないけれど
気づいたときには意味を理解していた
その言葉には特別な気分と
ほんのちょっぴりこそばゆさを感じる
冗談交じりに言ってみたり
流行りの歌で歌うのとはワケが違う
その瞬間が来たとしても
ははは、きっと僕は言えないんだろうな