小さな命
―――目が合ってもいつも無視するよね
久しぶりに集まった同級生との飲み会で
指摘された言葉が現在も心に引っ掛かっている
気力を失くし陰鬱とする勤め先からの帰り路
乗り換え駅から乗り込むこの時間の電車は
朝ほどではないがほんの少し混み合っている
最寄り駅までそれほど時間は掛からない
何となしに車内広告や辺りを見回していると
母親に抱っこされる小さな顔に気が付いた
きょろきょろと首から上を必死に動かして
辺りを物珍しそうに見回している
時折小さな腕を伸ばしては何かを掴もうとしている
凛と見開かれたその瞳の先に
この世界はどのように映し出されているのだろうか
やがて2つの目が自然とこちらの方を向く
後ろめたいことなど何も無いが
思わずゆっくりと目を逸らしてしまう
誰とも目を逸らすようになったのはいつからだろうか
自分に嫌悪感を抱きながら最寄りの駅で降りた
2/24/2024, 3:17:45 PM