まって
「待ってよ!」
なんて言いながら君の背中を追いかける。
「早くしろよー笑」
君がそう言いながら笑う。
このやり取りさえも幸せ。
────なのに、君は…。
「ねぇ、まって。ねぇ!まってよ!!いかないで…。お願いだから置いていかないで…!」
交通事故で亡くなった。
ねぇ、「まって」って言ったじゃん。
なのに、なんで待ってくれないの?
…ばか。
私より先に逝くなんてばか…。
結婚前提に付き合ってたのに…。
明日で付き合って6年だったのに…。
君のせいで、私一生結婚できないじゃん!
君以外と結婚なんて考えられないよ。
好きなのに、好きな人がいるのに、その人にもう会えないなんて。
辛すぎる。
ねぇ、待ってて。
きっと、あと60年後にはそっちに逝くから。
今すぐには行かないから。
君の分まで生きるよ。
手放す勇気
なんなの?
本当になんなの?
君のせいだからね!
私が君への想いを手放せないのは!!
彼女いるくせに、目が合ったら話しかけてくるし、なんならここ最近よく目が合うし。
この前、君のこと見すぎて目が合っちゃって、「俺のこと見てるのバレてるよ。見すぎな?」って言われたから、絶対好きなことバレたし。
もしかして、私が君のこと好きなの分かっててわざとやってる?
いや、そんなわけないか。
私の気にしすぎなのかもしれない。
でもでも!
君への想いはいつまでたっても手放せないの!
消えないの!
どうして?
きっと手放す勇気がないとかではないと思う。
だって、好きな人への気持ちなんて簡単には諦めきれないでしょ?
だから、「勇気がない」じゃなくて「手放したくない」が正解だと思う。
すれ違う瞳
あっ、
君と目があった。
でも、すぐにそらしてしまう。
ここ最近君とすごく目が合う。
なんか照れ臭い。
なんて嘘。
君が見ていたのは私じゃなかったみたい。
君の目線の先には友達がいた。
君が好きなのはきっとその子。
今まで勘違いしていた。
すごい恥ずかしい…けど、
君と目が合っていた日もあったかもしれない。
って今日も変な妄想。
あっ、
いや、きっと今のもすれ違っているだけなのかもね。
「こっちに恋」「愛に来て」
恋って言うから
愛に来た
遠くの声
私の学校にはテニスコートが6面ある。
横に並んでるから端から端まで遠い。
部長が1コートで練習していて、私は4コートで練習している。
風とか強い日は部長の指示は聞こえない。
みんなが返事をしているのを聞いて私たちも返事をする。
5コートでやっている男子たちは聞こえねぇとぼやいていた。
遠くの声。
たいした距離じゃないかも知れないけど、聞こえないもんだなぁ。
先生の声でさえ怪しいのに。
来年から私たちがやる番。
後輩に迷惑かけないようにしないとなぁ。
たださえ声を出すのが苦手なのに。
大きな声出せてないのに。
遠くまで聞こえるように声を出さないと。