8/21/2023, 10:38:17 AM
窓の外を飛ぶ鳥が昔から羨ましかった。自由で、広大で、きっと私の知らない世界を知っているから。窓の外しか知らない私も、鳥のように飛びたいと思った。
「何を見ているの」
「いえ。何も」
お母様の声が後ろから聞こえたから、私は怖くなってカーテンを閉めた。あの鳥たちにも親がいるのかしら。巣立ちを許さないような、子供を愛する親が。
8/20/2023, 2:31:40 PM
僕はずっと昔、ばあちゃんと同じ村で暮らしていた。それも、両親の不仲で、母親が当時三歳くらいだった僕を連れて実家に逃げてきたからだった。
その村での生活はそこそこに楽しく、全校生徒十二人の小学校で、僕は同じ学年の女の子と仲良くしていた。肌が日焼けをしていて黒くて、黒髪のショートカットの女の子。もう名前は覚えていない。
両親の不仲が解消されて、というか父親が母親に土下座せんばかりに謝って、僕は両親と暮らすことになった。それで村を離れることをその女の子に言ったら「さよならの前に」ってその子は僕の頬に口付けた。
「大人になってまた会えたら、結婚しようね」
舌ったらずな子供の声で、その子はそう言ってくれた。