つづくと思っていたものは
いとも簡単に
終わりをむかえる
またすぐにね、と言った
あの感覚は
しだいに遠い過去に
そうやって
ひとはまたひとりになっていくの
ひとりで生まれてきた世界
いくつもの
朝をむかえ
食卓を囲み
花を飾り
生活した記憶に
彩られた
旅の終わりに感じるのが
旅した時の流れの速さであるように
死ぬ間際きっと
人生の旅はあっという間だったと言うだろう
木の椅子に腰をかけ
ぽつりと呟く
そんな自分の姿がいとも簡単に想像できる
さようならさようなら
ときどき
この世界にお別れを
告げる日のことを思って泣きたくなる
今のすべてが
愛おしい時であるはずなのに
どうしてもっと
大切にしないのだろう
#終わらせないで
今日は電話する元気がない
と言われ
た
ぜんぜんだいじょうぶだよ
と答え
実際
そう
思っている
んだけど
元気がないから電話したいんだ
と思って
もらえる
ような
存在に
なりたいな
と
まだ
健全なわたしは
考えてい
る
#愛情
がんばっていないことが こわい
しあわせなことが こわい
いつかバチが当たるんじゃないかと思いながら
この豊かな日常をすごしている
#落ちてゆく
きみのわるいイメージが頭にうかぶ
刃のついた棒を
口にくわえる
歯磨きするように
こすりつける
ごし ごし ごし
歯も舌も歯肉も赤く染まる
きもちがわるいのにやめられない
そのまま飲み込むことにする
胃の中で
刃のついたそれは
動くたび飲み込むたびに
すこしずつ内蔵を傷つける
しゃき しゃき しゃき
終わることのない痛み
こいつとこれから生きていく他ない
身体を檻のして飼う生き物のように
飼い慣らしていくしか
#どうすればいいの?
あったかもしれない過去を
えいえんに考えるならば、
ありえるしれない未来について
考えをふくらませた方がいいんだろう。
書き換えることができるのは
いつでもこれから起こる物語において、のみなのだ。
#もう一つの物語