Rin

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2/1/2023, 1:52:16 PM

「ブランコ」

ちょこんと乗ったとき
生まれたさざ波
膝をうんと伸ばし曲げを
しているうちに
大波を呼ぶ

地球には真下に落ちる力しかないと思っていた
それがこんなに高く伸び上がる
まるで地面から離れたがっているように
ずっと揺られていればいつか
宇宙まで流れつくみたいに

摂理から切り離されて
自由になった身

今度こそ 今度こそ 今度こそ
とぶ



#ブランコ

1/28/2023, 11:59:01 AM

「魅惑」

夜空の星よりも
手に届く星を求め
憧れの街へ揺られる

きらびやかな
ライトに彩られた
規則的な石だたみを
かかとを鳴らして
くるくる歩く

ロウソクを溶かすような
ギターのリズムに合わせて
切り揃えられたての
髪の毛が跳ねる

魅惑的な場所に
行くのは
とっても恐ろしい

こころときめくのは
いっしゅん

そのうちに
帰りたくない
という欲望と
たたかわなくては
ならない

自分を騙して生きている
自分に出会ってしまうのが
怖いのだ



#街へ


「やさしくつよく」

はじめに
優しくありたい、
が先にあった

人に対して
生き物に対して
自分から出る
言葉も
行いも
みんな愛から
生まれればいいと

優しくあることを
信条としていた
わたしに
ある先生が
声をかけた

いつも、みんなに
優しくいるのは
しんどいでしょう

どんな状況でも
一筋の光となるような
優しさを
持ち続けるためには
優しさよりも
もっと
強さが必要なんだよと

いま
強くなりたい
地中ふかく根を張る強さ

まわりを枝で包み
葉をつけて
木影でやすむ
あなたの木漏れ日になる



#優しさ

1/26/2023, 12:21:01 PM

「闇夜」

愛している
と言ってくれる人のことを
ないがしろにし

まだ見ぬ
誰かを夢みている

自分のこころが
どこにあるか
わからなくなるとき
世界が崩れ落ちる
音がする

どうして
毎日笑っていられたのか
どうして
机に向かって努力できていたのか
どうして
はじめましての人とも
にこやかに話すことができていたのか
どうして
未来に希望があると思ったのか

すべてわからなくなる

自分の実態が
闇夜にとけてなくなる

何も考えたくない
進みたくない
みんな止まっていろ
置いていくな

駄々っ子のように
書き殴った言葉たち

こんな気持ちは
今晩の闇の中に置いていけばいい



#ミッドナイト

1/26/2023, 9:15:55 AM

「不安はらむ安心」

もしもし

あーちゃんに電話
話がひと段落すると

ちょっと待ってね

ごそごそ
もしもし

と、じいじが出る
体調がいい日の声

なんてことない
そのひとときの
ぬくもりに
ふぅと力が抜ける

それでも
安心をもたらす
そのひとときも
いつか
終わりがやってくる
と思うととたんに
不安に包まれる

安心はいつも
いつかの不安を
はらんでいるのかもしれない

絶対的な安心なんて
存在しないのかもしれない

ただ、いつか
あぁなんて
あったかかったんだろうなぁ
と肌で感じられるよう
見つめよう
耳を傾けよう
寄り添おう


#安心と不安

1/25/2023, 8:58:52 AM

「シルエット」

まぶしい光のなか
うっすらと
愛おしい
シルエットだけが
浮かび上がる

光が強ければ強いほど
陰もまた強く
引っぱりあって
存在している

私が惹かれたのは
あなたの光だろうか
陰だろうか

目を細めて
淡く発光する
あなたを見つめる


#逆光

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