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11/30/2023, 2:49:48 PM

涙を拭う方法を知らないのです。あなたの頬に流れる水滴を眺めて、ただ呆然と立ち尽くすことしか出来ないわたしをどうか笑ってください。それでその涙が止まるなら何よりと存じます。笑うことが出来ないというのなら、どうか叱ってください。どうか怒ってください。情けないと口汚く罵ってください。それであなたの雨が晴れるなら、それ以上の幸せはないはずなのです。どうか、どうか、寄り添うことしか出来ないわたしにだけは、あなたの想いを聞かせてほしいと願うのです。
ワン、とひと鳴き。
か細い鳴き声だった。言葉が交わらないことがどうしようもなく悔しくて、もどかしかった。伝えたいことがあるのに、声が出ない。徐々に落ちていく体温を取り戻したくて、毛布に来るんだ体を抱える。もっと一緒に居られるはず、と固くなる体にすがりつく。どこにも行かないで、ずっと傍に居て。漏れ出るのは嗚咽ばかりで、言葉にすらならなかった。

11/29/2023, 4:04:45 PM

のぼりがけたたましい音を立てながら靡いている。北風が強くなるとは聞いていたが予想以上の靡き方に引かざるを得ない。え、これチャリで帰るの? マジ? 帰るまでに風の機嫌が直りますように、と祈りつつ仕事を熟すが、ごうごう、と外の風はここぞとばかりにイキリ散らかしている。気づかぬ間に紅葉を終えていた枯れ葉が、強風で舞い上がり窓にぶつかる。かさり、乾いた音をさせては落ちていく。何度も、何度も、ぶつかり、落ちる。木枯らし一番なんて優しい表現は改めた方が良い。強い北風が、台風がごとく駆けていく。ああ、いやだな。明日からコートを着なければならないなんて。

11/27/2023, 1:14:04 PM

注いだ分だけ、分け与えた分だけ、返ってくる。自分にとって愛情とはそういうものだ。無償の愛なんてものは存在しない。どんな聖人であろうとも、人は少なからず見返りを求めてしまう生き物である。

11/26/2023, 3:36:44 PM

僅かな熱が灯る。それは憎悪とも愛情とも執着とも取れるひどく曖昧な灯火で、しかし燃え盛るほどの熱量はさしてない、ちんけなものだった。やり場のない僅かな熱は、燻るだけである。いっそ大量の燃料でも注がれたなら燃え尽きることもできるのに、その燃料になる材料さえ手に入れる事ができない。
何せ、凡庸な人間だ。
目立つ中心人物にはなれないし、劇的な日常を送れるような人間でもない。ルーティンを熟し、日々をただ消化する歯車人生だ。炉心で燻る熱が発露することは決してない。それが悪いとも思っていない。穏やかで居られることの重大さは身に沁みている。

11/25/2023, 2:00:27 PM

燦々と輝く太陽に目を眇めて、最悪だと悪態を吐く。なんだってこんなに暑いのか。もう十一月だというのに、夏にも迫る気温で汗が出る。半袖はまだ仕舞わなくても良かったな、という後悔をため息とともに吐き捨て、仕方無しに袖を捲くる。いつになったら袖のある服をまともに着れるんだ。

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