浅江

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9/28/2024, 2:14:48 PM

 別れ際にキスをした。

「んっ、付き合おうか」

 触るだけのキスをした。
 それ以外も沢山した事があったが、少しドキドキした。



 結果だけ伝えると、何故か振られた事になっていた。
 相手の事を好きかと聞かれるとグレーで、好きになれたらいいなと前向きに思っていた。
 その後に、ある事ない事を言いふらされた。先生まで知っているぐらいに。



 好きだと言われた。
 断ったが、「友達でいいから断らないで。好きになって貰えるように頑張るから」と言われた。
 その後、卑怯な手も使われたり、色々あった。
 デートっぽい事もした。




「気持ち悪いから、近づくな」

 これが正解だったんだろうか?




 別れ際にキスをした。
 学校の立ち入り禁止の階段で。
 ホコリが舞う僕の隠れ家で。


「少し考えさせて」
 そう言われた。



⬛︎別れ際に

9/27/2024, 1:19:31 PM

 ざざざざっと雨粒が落ちてくる。
 リモートワーク中の僕は画面から離れるかを悩む。少しキリが悪いし、集中が切れてしまう。
 これが洗濯ものであれば走って取込みに向かうのに。
 雨足が強くなる音を聞き、観念して立ち上がる。ベランダがある方は雨が降り込みやすいのだ。
 ついでだとコーヒーの準備。
 ドリップではなく粉のインスタント。これはこれで嫌いではない。勝手知ったるか適当に入れて、席で胡座を組む。
 雨が止んで太陽が出るとむわっと暑くなる。このまま降り続いて欲しいなって思いながら作業を開始する。
 まあそんな都合のいい天気はそうそうないんだがね。

⬛︎通り雨

9/7/2024, 1:13:59 AM

ふとみあげる


⬛︎時を告げる

9/5/2024, 11:10:20 AM

年に何回か父の実家に行っていた
山があり、川があり、海がある
フェリー乗り場前の土産物屋には色んな物が売っていた
僕はカラフルな幸せの砂をよく買っていた
しかし家に帰ってからそれをどうしていたか全く記憶がない


⬛︎貝殻

9/4/2024, 11:59:34 AM

 目を醒ますとまだ暗くて、朝日が上がるまでしばらくかかる未明。

 ベットから降り、トイレを済まし、キッチンの小さな琺瑯鍋でお湯を沸かす。
 硝子のポットの上にコーヒードリッパーを乗せ、フィルターの端を折りながらぼんやりする。
 前までは豆を挽くところから作業していたが、最近はなんか億劫で挽いてあるモノを買っている。豆を挽くところからはじめるのは楽しいが、今はそういう周期なんだと思う。

 セットしたフィルターに沸いたお湯を掛けて、全体を湿らせる。

 挽かれた豆を入れ、中央に指先を突っ込み、「クルペッコ」と呟く。
 映画で観た呪文を上手に詠唱出来ず、僕が勝手に創り上げた呪文。決してモンスターの名前ではない筈。おそらく、たぶん。

 ポットに溜まったお湯を捨てるとシンクから「べコン」と朝の挨拶。
 ぐしゅぐしゅと音をたてる熱湯を計量カップに移し、粉を湿らせていく。

 どうでもいいが、他にも呪文はある。
 何度も心を込めて「ありがとう」と言いながらお湯を垂らしていくモノで、出社支度でバタバタと忙しい彼女の爆笑を掻っ攫った。
 ソレはたくさん氷を詰めた350mlの水筒に入れて持たせてあげた。

 全体にお湯が行き渡ると、豆がふっくりと起き上がる。
 こちらはシンクと違って声を掛けてはくれないが、小さな気泡が暗いキッチンの弱っちい光で屈折。



⬛︎きらめき

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