【夜空を駆ける】
あなたと見た夢。夜空を駆ける夢。
夜空を駆ける夢は叶わなかったけど、貴方と2人並んで夜空を眺めることができる今のこの幸せは夜空を駆ける夢より大切だ。
【ひそかな想い】
私の好きな人には好きな人がいるんだと友達から聞いた。
その子はとても可愛くて優しくて誰にでも好かれるような子だって聞いたんだ。
私とは真逆の人だなぁ、きっと彼が好きな人だからとても素敵なひとなんだろう。
彼が幸せな時隣に立っているのは私でありたい、でも彼が幸せなら私はそれでいい、なんて思っていたけどそんなこと思えないくらいに彼を好きになってしまった。
数週間経って彼とその好きな人は結ばれたそうだ。
あんなに目に入れても痛くなかった彼がとても痛く感じてしまう。
私以外の隣に立ってあんなに幸せそうな顔をしている彼なんて、見たくなかった。
叶わぬ恋ならば、最初から彼のことなんて好きになりたくなかった。
あぁ、だけど、この気持ちを捨てることはできないだろうからひそかい想いを寄せるくらいは、許してほしいな。
【あなたは誰】
夢の中で見る不思議な男の子がいる。
いつも私がどこかを歩いているところで夢が始まって気づいたら横に並んで歩いてる。
なぜか恐怖心はなくてむしろ安心感がある。
夢の中だからか毎回話しかけようとするけど思ったように喋れない。
けど、今日はいつもと違った。
真っ暗な場所、静まり返り自分の息の音しか聞こえない、そんな空間。
とりあえず、光が見えるからそこへ向かう。
進んで、進んで、進んで、進んで……
中々光のある場所へ辿り着けない。そんな時にふと思い返して横を見てみた。
「ひっ……」
そこには彼であろうものがいた。だが彼の顔には顔に穴が空いていた。
いつもの安心感はなく、恐怖が頭を占める。
だれ、だれだれだれだれだれ、彼はどこなの、あなたは一体誰なの。
お願い、早くこんな夢覚めて、、!
体が動かないっ、どうすれば、!
「…ニ"ギ」
「え、?」
目の前の彼のカタチをしたものが何か言っている。
耳を澄ましてみると
「ュメニ"…ギカィヂャダメ…」
ゆめにぎかいぢゃだめ…?
夢にぎ?かいぢゃだめ?かいぢゃダメは書いちゃダメ…ということだろうか
ゆめにぎ…ゆめにき…ゆめ…
「…夢日記のこと、?」
夢日記書いちゃダメ…そういえば彼と夢で出会ってから夢日記をつけるようになった。
それが原因で彼はこんなことに?
「それをやめればいいの…、?それなら、やめる、やめるから、、お願い早く夢から覚めさせて…」
気づいたら朝になっていた。汗で服も髪もベタベタになってしまった。
「そうだ、夢日記…」
なぜかはわからないがこれをみていると気分が悪い。今日神社へ行ってもやしてもらうことにしよう。
【手紙の行方】
彼から貰ったものの中で一番大切にしていたものを無くしてしまった。
あぁ、ああ、どうしましょう。彼からの愛の記しが…、
大切にしまっていたのに、どこへ行ってしまったのか…
「ばあちゃん?何してんの?」
「あぁ、そうちゃん、陽平さんが昔にくれたお手紙がどこを探しても見つからないんだよ…」
「え?手紙?…もしかしてじいちゃんが初めてくれたって言ってた手紙の事?」
「そう!それのことだよ、そうちゃん場所を知っているのかい?」
「その手紙、じいちゃんの棺桶に入れて一緒に焼いたんじゃなかったの?」
「棺桶…あ、あぁ、そうか、そうだったねぇ、」
「もぉ〜しっかりしてくれよ?ばあちゃん」
「悪いねぇ、気をつけるよ」
そうか、陽平さんはもうこの世には…私もボケたものだね…
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陽平さん→亡き夫
そうちゃん→孫
【輝き】
輝きを失った神など誰の眼中にもない。
「なぁ、そうだろ?哀れな"元"神様や」
そう言った男は原型を留めていない何かを力の限り踏んづけた。