どんな時でもプロ意識を持って好きなことを極め抜く。
いつも笑顔で、見ている人も明るくなるような人になる。応援してくれる人達をとことん大切にする。
あーあ、やっぱり私は全然なりたい私になれないなあ。
でも、どんなに時が経ったって、結局今みたいに「理想と違うや」って嘆くんだろうな。
むしろずっとそのままでいいかもしれない。理想通りの自分で幸せになったら、まるで夢を見てるみたいで怖いもの。理想は理想で遠い夢。それに届くようにもがいて嘆いて、それで成長していくのがほんとの"幸せな人生"ってやつじゃないかしら。
2020年2月。新型コロナウイルスの猛威が始まった頃。私達の世代は、例年より一足早く卒業を迎えた。私立の中高一貫校だったから、中学の修了式はいらないと考えられたのだろう。
委員長達が先生にかけ合ってくれたおかげで、辛うじて最後の行事である合唱祭ができた。でも会場は音楽室で、1クラスずつ時間をずらしての開催。
部活も、突然終わってしまった。私が入っていた演劇部は、3月に卒業公演を迎える予定だった。部員全員、最後まで公演できると希望を持って練習していた。だけど結局だめだった。3年生全員が共演できるのは、最初で最後の機会だったのに。
それから高校に入って、授業の半分くらいがオンライン。修学旅行も全部できなかった。体育系の行事だけが許されて、「卒アルの行事写真は全部クラTだね」なんて友達と笑い合って、不満を誤魔化した。
別に先生達を恨んでるわけではないけれど、ほんとのほんとの贅沢が許されるなら、もう一度あの時に戻りたい。
卒業公演やりたかった。高校では事情があって部活ができないことになったから、大好きな仲間と最後にきちんと舞台に立ちたかった。縮小になってもいいから、修了式をやりたかった。「コロナだから」と言い訳にして青春を諦めさせる大人達にも、「仕方ない」と無気力になる自分にも腹が立って仕方なかった。
コロナでできなかったこと、それが突然の別れ。
5年前に私が好きになった人へ
5年前と比べると随分垢抜けました。大人っぽくなったし、内面も磨かれたと思います。だからどうなりたいとかはありませんが、ただ伝えたくなっただけです。でもきっとあなたと会ったら、臆病な私は結局そう伝えられなくて、鈍感なあなたは「久しぶりだね!」で終わってしまうのでしょう。
あと1つ最初で最後のお願いです。
未だに夢に出てこないでください。あまりにも暖かくて気持ちが良い夢で、出てこられたら身を任せてしまいます。もうこれきりにしてください。
なんて、嘘です。架空の恋のお話みたいなものだと思ってください。だってやっぱり私は臆病だったから、4年間何も言わなかったでしょう?言わないという事は、"無い"に等しいことなんですよ。
初恋のあなたを4年間思い続けた私より
真夜中、ふと目が覚める。水を打ったような静寂。真っ暗闇の中に、ぼんやりと加湿器の湿度を知らせるランプが浮かび上がっている。
『何か』が出そうで出なさそうな雰囲気。ああ、微睡んでいるのだなと感じた。人も、動物も、植物も、加湿器のランプも…『何か』も。とろとろとした眠気に誘われているのだ。
そんな真夜中に、私も誘われて眠りの底へと再び落ちて行く。
愛は美しいもの。綺麗なもの。強いもの。暖かいもの。
けれど、怖いもの。
嫉妬の呪い。狂った愛しさ。愛がある故の、苛烈な憎しみ。
色々な種類の愛が、沢山この世界に渦巻いているから、この世界は日々、嬉しいことや悲しいこと、様々なことが起こっている。
愛があるから何でもできる、というか、愛があるから何でもできてしまう、のかもしれない。