どこまでも行けると気楽かな
どうせこの先も
いつかはきっとと口にして
どこまでも行ってしまうだろう
それでいいね
いいねいいね
感触いいね
そんな憂鬱に
振り向かないでいいから
一度でもいいから
足を止めてみなよ
未知の交差点で事故が起こりました
そう私の脳の神経系の
交感神経と副交感神経が交わる場所で
非常に難しい運転を
私なんかができるわけなかった
私を操作するための
道程は導火線だらけで
想定はおよそで
信号はずっと青のままで
間違えながらまた進む
一輪のコスモスを摘んで帰ってきたあの子
帰り道で偶然見つけたのだと
「コスモス畑は白とピンクと紫で
空もピンク色になってしまってね
コスモスの花びらがひらひらと舞っていてね
スパンコールが降ってきてキラキラ眩しかった
ああ、今日は一輪しか持って帰れなかったけど
畑には1000000本は生えてたよ、わたし数えたんだからね
それで花びらをちぎって好き、嫌いって
何回やってもね『好き』なの!
これって運命だよね?だよね?
そういえばコスモスの花言葉って調和なんだよ
わたしたちつり合ってるよね、ぜったいつり合ってる!
ピッタリの花言葉じゃん!
この一輪はあっくんのために摘んで帰ってきたんだよ
うれしい?」
「ああ。」
「やったーやったー!
これはピンク色だから乙女の純情って意味なんだよ
純情届け!と思って選んだよ
かわいいよねピンク
わたしにいっちばん似合ってるよね
ピンク色だいすきなの!
濃いピンクも薄いピンクもいいよね
いっぱい探してこれが一番きれいだったから
選んだよ
うれしい?」
「うん。」
花言葉は調和、か
冬、コスモスが枯れる頃
あの子は他の男ができたと言って
もう帰ってこなかった
秋恋をキャンバスに
俺は閉じ込められた絵の具だ
ここから出してくれと嘆いても
嘆いても、乾くだけ
真っ白いときはよかった
塗っている最中はよかった
完成した眺めは、まあ、よかった
何のために描いたのか
落ちていく葉も
なぞられた筆の温もりも
どっかいってしまったんだよな
愛する、それ故に今日とせよ
心に刻む目印は歌にせよ
花をみるように心を見つめ
風の心地を 音の色を
守るべきものを
刺さる棘をも
詰め込んだ心を撫でるように
私は私を忘れないこと
あなたもあなたを忘れないように
今日を愛し 咲き誇り謳歌せよ