エイプリルフール
「なぁなぁ知ってるか?エイプリルフールって今年から4月2日になったらしいぜ」
幼馴染の彼がそんなことを言ってきた。
まぁエイプリルフールの嘘なんだろうけど。
『ふ〜ん。』
「あんま驚かね〜のな。」
『だってそれ嘘でしょ。』
「うわ!バレたか。」
『幼馴染なめんな』
いじけてしまった彼を見て少し笑ってしまう。
『それじゃぁ今から言うことは嘘か本当か当ててみてよ。』
余裕だろ〜なんていってる彼の目を見ながら私は言葉を紡ぐ。
『私は貴方のことが好きです。』
「ハァッ!?」って驚いてる彼をよそにあかくなっている顔を隠すように少しうつむく。
彼は気づくかな。これが嘘じゃないってこと。
幸せになってね
私の姉は私とは違って優しい人だった。
いつも問題を起こす私とは違って困っている人には必ず手を差し伸べるような優しい人。私はそんな姉が自慢だった。
ある日姉がもうすぐ結婚するという連絡をしてきた。
幸せそうに話す姉の声を聞いているとこちらまで幸せな気分になってくる。お相手の男性は聞けばいい家柄のお坊っちゃまらしい。姉が喜々としてメールで写真を送ってくる。見た目は少しチャラチャラした感じの男だった。姉いわく「見た目は少しチャラチャラしてるけど優しい人なの」だそうだ。その日はそのまま夜遅くまで姉の惚気けを聞くハメになったのだった。
そんな日のことを思い出しながら私はとある男に近づいていく。先日姉から送られた写真と瓜二つな男に。姉との婚約の身でありながら浮気を繰り返すクソな男に。
男は少し猫なで声で話しかければすぐに鼻の下を伸ばした。そんな男への嫌悪感と姉への申し訳無さを胸に私たちは夜の街へと消えていった。
それから少しして私は実家へと呼び出された。リビングへ行くとそこにはカンカンになっている父親。泣き崩れる姉の背中をさする母親。父親はカンカンになりながら私を怒鳴りつけ、姉は「どうして……どうしてなの」
と繰り返すばかり。一通り話を聞いてから私は実家から追い出されることになった。私は玄関の扉を開けて一歩また一歩と踏み出していく。あぁそうだこの言葉だけは伝えなければ。
「お姉ちゃん、幸せになってね」
何気ないふり
今日も私は何気ないふりをする。
貴方に会うと胸がドキドキして気を抜いちゃうと声も震えちゃう。
でもこの気持ちは貴方に気づかれたくないの。
だから私は何気ないふりをするの。
「おはよう。」