子どもの頃描いた未来は親と学校と友達、それに空想の世界しか材料がなくて
大人になった今は人の色々なこと自分の経験したこと、スパイスなんて美味しくなれるものなのかすら怪しいのが混ざって自分の事で精一杯の今じゃあ小さな世界の時より綺麗なものは描けなくて
でもそんな綺麗なものだけは頭にチラついて離れない
過去ばっか良かった思い出ばかりずうっと考えて先のこれからあるはずのことすら考えられなくなっている
たしかにあの時も未来なんて曖昧なものこうなりたい!って気持ちはあれどどんな大人になりたいかなんて考えたことなかったなぁ
今の僕にはあの時のむちゃくちゃで希望ばかりの未来なんて描けない
でも、ちょっとこんな世界がいいなはあるんだ
猫か犬と穏やかに過ごす未来 あったらいいなぁ
有名な作家の本を借りるべく図書館に行った
僕の地元の図書館はそこそこの広さがあるのできっとあるはずだ!と思い探してみるが全て借りられてしまっているのか1冊も見当たらない
アニメを見て面白かったから本を読もうと思ったのに…
落ち込みつつぽっかりと空いた棚を眺めていると隣になかなかに中2心をくすぐられるタイトルの本を見つける
冒頭を軽く眺め読みやすい文章であったのでそのまま借りてみることにした
日本人作家にしては珍しく少女のバトルもので僕は夢中になって読んだ
高校にあがるにつれ読書から離れ大人になった今では手軽な漫画やSNSのタイムラインを眺めるくらいしかできなくなっていた
読書 地味に体力というか頭と心を使う趣味だったんだなぁとか思いながら目当ての雑誌片手に本屋をぶらぶらしていた
ふと昔好きだったあのアニメの作家の新作はどんなものかと探してみると隣には懐かしい名前も一緒にならんでいた
その瞬間僕は少し涙がにじんだ
あの時好きだった作家が今でも変わらず書き続けていたこと、変わらずそこにい続けていたこと
僕のためではないし僕だってたまたま覗いて見つけただけのはずなのに何故か嬉しくて思わずその本を買ってすぐに帰った
大人になると好みが変わってしまうがあの人は変わらず面白くて魅力的で今もそこにいた
そんな誰に言えるでもない けどたしかに僕の心を満たしてくれた幸福を君に届けられて良かった
こんな僕の幸せを読んでくれてありがとう
君にも幸あれ