あなたがいれば そこが楽園
たとえそこが地獄でも
あなたには楽園しか似合わない
わたしのことを覚えていてくれさえすれば
それでいいの
あなたが楽園(そこ)にいるためならば
わたしは地獄の業火にさえ焼かれるわ
だからお願い
あなたの夢にわたしをいさせて
そこがわたしの楽園
/『楽園』
〜の扉が1/5くらい。逸れてしまった。
神の手から解き放たれて
ぼくは飛んでいく
行き先はわからない
風に乗って
風の向くまま
ぼくはどこへ行くのだろう
たどり着いた先に何があるのだろう
しばらく飛んでいくと
白いはこの中に足がついた
「あら、紙飛行機だわ
どこから飛んできたのかしら?」
窓辺に落ちた白い紙飛行機を女性は手に取った
/『風に乗って』
昨日分
見ているだけでよかったのに――
きみに、恋をしてしまった
下界の生活を覗いているだけでよかった
暮らしを眺めているだけでよかった
一言言葉を交わすだけでよかった
その内下界に下りるようになり
世間話をするようになり
きみが、私に恋をした
惹かれ合って、結ばれてしまった
私にとって刹那の時間
きみにとっての一生の時間
きみは、それでもいいと言った
私と共に過ごせるだけでいいと
『これはわたしのワガママだから』ときみは言ってくれた
はじめに我儘を言ったのは私だというのに
自分勝手なことだ
きみを私の理に縛りつけて
きみの魂を
何度生まれ変わっても
私に恋をするように、変えてしまった
これできみの何度でも巡る刹那は
永遠に私のものになった
永遠の刹那/『刹那』
空を見上げて、いい天気だと思う
ごはんがおいしいと思う
生きる意味なんて、それくらいでいいと思う
/『生きる意味』
『善悪』
「あなたのこと、愛してるから、殺すわね」
堪えきれない涙をこぼして、女は包丁を振り上げた。
精神的にも体力的にも参ってしまった僕は、この日々から逃げ出したかった。
だから僕の部屋に通っていた彼女に、僕を殺してくれるよう頼んだ。
彼女は僕に頼み事をされたことに喜び、その内容に落胆した。だがすぐに顔を上げ、僕の頼みならと了承してくれた。
決行は2日後。
僕のことを大好きな人に僕を殺すことを頼むなんて、僕は大罪人かもしれない。でもいいんだ。
(僕も君のこと、大嫌いだから、君にお願いしたんだ)
4月26日19時。
僕を殺すために、彼女は渡した覚えのない合鍵を使って僕の部屋に入ってきた。
/『善悪』
昨日の分
闇を駆ける一閃を捕まえて彼は言った。
「はい。これをあげるよ」
「これ、なに?」
「流れ星。持って強く願えば、きっと叶うよ」
うつむく私に差し出された彼の手には、キラキラと光り輝くお星さま。
「君はこんなところで落ち込んでるヒマはないでしょう?」
/『流れ星に願いを』*
ひとつ、「おはよう」と「おやすみ」は必ず言うこと
ふたつ、ごはんはなるべく一緒に食べること
みっつ、隠しごとはしないこと(サプライズは除く)
同棲をする前に決めた三つのルール。
多くなく、縛りすぎず、緩すぎず。
僕たちらしい、三つのルール。
まさか半年で破られることになるなんて。
毎日言えるおやすみは、あの日おはようを言えなかった僕への罰なのかな。
/『ルール』