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3/26/2023, 8:20:58 AM

海に囲まれた離島に立つ私立花咲(はなさき)学園。水戸 海豚(みと いるか)と蝶百 小豆(ちょうひ あずき)は、自分たちが呼び出された理由を考えながら、生徒指導室で座っていた。
「済まない、遅くなった」
生徒指導担当の(名前)が、木製の扉を開けて2人の向かいに腰を掛けた。

「先生、話ってなんですか」
面倒くさそうに水戸が尋ねた。

「実は、お前たちに更生して欲しい奴らがいてな。」
更生して欲しい奴ら、その言葉を聞いた瞬間、2人の脳裏に2人の人物がよぎった。
「更生して欲しい奴らって、香坂 仁(こうさか じん)と、檜山 十良(ひやま とおる)ですか?」
「悪魔寮の不良どもの話、獣人寮まで届いてんのか。」
香坂と檜山は、この私立花咲学園の中でも、不良の代名詞とされるほどの問題児で、毎日のように問題を起こすので、先生も手を焼いている。
「本当はこういう問題児どもは、俺たち教師が指導しないといけないんだが、最近色々問題が山積みでな…と言うことでお前たちにこいつらの更生を頼みたい。」
「香坂くんと檜山くんの更生くらい先生がしてくださいよーめんどくちゃい。」
「そう言いなさんなって。我は大丈夫です。頑張ります。」
嫌がる蝶百に続いて水戸が言った。
「ありがとう、助かるよ水戸。」
(名前)が水戸の了承を聞き安堵した。
「蝶百、もし断ったらお前の宿題増やしてくれとお前の担任に頼むぞ?」
「わかりました!やります!!」
簡単に釣られたな、と、水戸は微笑した。
「では早速明日から頼む。よろしくな、二人共。」
(名前)はそう言い残し生徒指導室を去った。
静まり返った生徒指導室で、二人は顔を見合わせていた。