やんちゃな年下幼馴染
私とは真反対の明るい君は夏の間は半袖で
楽しそうに水飛沫
眺める私を見つけては太陽を背負って手を伸ばす
遊ぼう!
小麦にやけた腕に引かれて
君の背中はまだ小さい
#半袖
柔い月明かりは
向こうを見つめても手の届かない壁に射す
氷のように冷たく触りたくても触れない
檻の木は暖かく私を受け入れるのに
どれだけ強く手を結んでも
どれだけ崇め奉っても
ただ、かれは微笑むだけ
のばしてものばしても掴めない望みは
掌(たなごころ)にとどまるだけ
#月に願いを
この感情をどうしよう
衝動的に熱い、狂ったような灰色が私の心を覆うの
なんで今なの?
漫画のようなタイミングがうざったい
分かってるわかってるよ。
そんな、貴方(せかい)まで否定することないじゃん
流される体温
塩味に交ざる不純物
肌にはりつく鎧さえ、優しくしてくれない
ふるりと身震い
あぁ、帰りたい…
霞む視界に最後に入ったのは眩い輝き
”ごめんね。愛してる”
#いつまでも降り止まない、雨
今、あの頃の私に声をかけるとしたら…
説教はしない
寄り添うこともしない
名言を使って諭さない
結局、どんな天才でも人智を超えた超人でも
人生をやりなおすことはできない
タイムスリップして過去に戻ることもフィクションだ
でも…
納得はできなくても理解はできる
不安だったんだよな
両親は「あなたは大丈夫だよね。」って言うから
寂しかったんだよな
幼馴染とクラスが別になって、遊ばなくなったから
ただ、さみしいと甘えて頭を撫でて欲しかった
そんな私に教えるよ
「もう少し、周りみろ。言葉にしなきゃ誰も見てはくれない」
#あの頃の不安だった私へ
「好きだよ」 「愛してる」
これは私に絡みつく鎖
いいえ、いいえ。鎖よりも優しく私をつつみこむ。
けれど、どんどんどんどん動けなくなる
息苦しくて、甘く切なくどろりとしてて…
最初はこんなふうじゃなかったのに
いつからか顔をのぞかせた独占欲
クールだったあなたにこんな事言わせてしまうなんて
あぁ…………私達、おそろいだね
『私もあなたを愛してる』
#逃れられない呪縛