10/28/2024, 10:56:31 AM
暗がりの中を歩いている
ひたひたと言う足音が自分のものだけでないと気付いて足を止めると、もう一つの足音も止まる
歩き出すとそれもまた歩き出す
ひたひた ひたひたひた
暗がりの中を歩いて、どこに行くのだったか
「ねえ、あなたはどこへ行くの」
見えない誰かに問いかけると、どこかで聞いたような声が返ってきた
「あなたの行くところ」
私はどこへ行くのだろう
思い出せないまま、暗がりの中を歩き続ける
『暗がりの中で』
10/22/2024, 11:59:20 PM
防虫剤を入れたケースに蓋をして、クローゼットの奥にしまい込んだ。
次の夏、樟脳の香りと共にこの気持ちも再び溢れてしまうのかもしれない。
『衣替え』
8/22/2024, 10:10:12 AM
私が右って言えば左と言うし
ライスを選べばパンを選ぶ
好きなアイドルは嫌いと言われて
幼馴染のくせに正反対で気が合わないとばかり思っていた
でも、好きって言ったら何故か同じ言葉が返って来た
『裏返し』
8/13/2024, 10:04:10 AM
身体を健康にするには、タンパク質やビタミンや他にも色々な栄養素や睡眠や、沢山のものが必要だけど
僕の心の健康はたった一つで保たれるって知ってる?
分かっていない顔で首を傾げた君を捕まえて、思い切りハグをした。
『心の健康』
7/13/2024, 10:05:04 AM
あなたの一番近くにいられるという優越感
あなたに意識してもらえないという劣等感
二つの感情がぐるぐる混ざってマーブル模様になり、今ではすっかり濁った色になってしまった。
均一に混合されてしまったそれらは二度と分離できなくて、私はもうどちらへも進む事ができずにいるのです。
『優越感、劣等感』