つらいことを何度も思い出してしまうこと
ひとの優しさを素直に受け入れられなかったこと
差し出された手を握り返せなかったこと
自信の無さにひとを困らせてしまったこと
余裕の無さにひとに強く当たってしまったこと
失敗してしまった自分を責めてしまったこと
感情が薄れて大好きだった音楽も映画も
楽しめなくなってしまったこと
どれだけ苦しくても
泣けない自分にしてしまったこと
どれだけ情けなくても
弱さを受け入れられない自分に
してしまったこと。
秋の景色はいつもより綺麗に見えるんだよ。
道路沿いの街路樹は葉っぱが腫れたみたいに染まって
赤い実なんか付けちゃってね。
店先にはくり抜かれたカボチャなんか飾って
すっかり街中は浮かれちゃってる。
動物は早々に年を越す準備かなんかはじめて、
まるくなるんだ。
秋の景色 秋の空気
あたたかい秋の日差し。
今年も迎えられるといいな。
日没 いつもの時間
今日もまただめだったな、
なんてひとくちにため息を吐く。
幸せが逃げちゃうよ。
逃がすものも、とうに手放したのに、
思い切り空気を吸い込み深く煙を吐き出す。
うまく働かない頭で
青色の魔法を1錠すくいあげ、
たちまち視界は暗くなる。
ひとりきりで考える。
部屋のすみっこにうずくまる。
明日こそはきっと、を繰り返す。
錆び付き愚直に明滅を繰り返す信号機は
見向きもされないくせ 飽きず前方へ信号を放つ。
ヘルプミー ヘルプミー
僕はここだよ きみはどこだい
ヘルプミー ヘルプミー
真っ暗な部屋に差し込む
ヘルプミー ヘルプミー
宇宙を見つけたよ きみはどこだい
ヘルプミー ヘルプミー
ヘルプミー
フィルター越しに見る世界は
いつもより綺麗に見えるよ。
点滅する信号機も、湖を囲う山々も
暗い表情も、だらしない身体も
沈んだ夏も、しめっぽい空気も
うつむいた太陽も、しずかな夜も
それでも、
フィルター越しに見える世界は
いつもより綺麗に見えたんだ。
現実をひとつ隔てるフィルターが一枚あればいい。
いつか、
そのフィルターが取れたら
いつか、
そのフィルターが取れたら