─── いつまでも捨てられないもの ───
それが何なのか僕にはわからない
知りたいとも思わないし
無理に話さなくてもいいよ
君にとってそれは
大切なものかもしれない
手放すべきものなのかもしれない
それを自覚できないからつらいのかな
自覚していても同じくつらいだろう
でもそれでいいんじゃない
1秒前までの過去の君で
今のこれからの君なんだから
─── 誇らしさ ───
年相応なんて知らないね
自分に1番似合う髪型に髪色
魅力的に見える化粧
服だって好きなものを着る
人と違うのは確かに最初は不安だね
だけどその不安の先に居るのは
自分という唯一無二の存在
恥ずかしくなんかない
好きなものは何歳になっても好きでいるといい
それを胸に生きていけばいいのさ
きっと間違ってなんかいない
ただしTPOだけは守りなよ
─── 夜の海 ───
とても静かだ
ここには誰もいない
いるのは私と水の中で眠る生き物たちだけ
音は大きくないけど少し迷惑かな
ごめんね
ここが1番の練習場所なんだ
誰にも見られないし邪魔されないから
水面の上で箒にまたがり
そっと口の中で言葉を紡いだ
パッと空が明るくなる
月でもない星でもない
夜の花を空に咲かせることが
今の私に与えられた課題
─── 自転車に乗って ───
子供の頃に練習はしたよ
別に途中で投げ出したわけじゃないけど
結局乗れないまま今に至ってる
そんな私を後ろに乗せて走りたいなんて
君は相当変わってると思う
乗せられる私は結構怖いんだけど
安全運転で走るから大丈夫だと言いながら
なんだか楽しげに私を後ろに乗せ走り出した
走り出すと怖かったのは最初だけで
風を感じたり景色が変わる事に何故か感動した
私のトラウマをこんなにも簡単に拭い去るなんて
当たり前だけど歩くのとは全然違うね
君の背をつかんでぼんやり考えてたら
だいぶ遠くまで走ってきている事に気付く
帰りがあるの忘れてないかな
私を乗せたいと言ったのは君だからね
家に帰るまで責任はちゃんと果たしてよ
私は練習していたあの日の事故で
両足が不自由なんだからね
─── 心の健康 ───
喜怒哀楽だけじゃないね
とても難しい
君にも教えてあげたい
作ってあげたい
ココロを
心があること
感情があることは
とても素晴らしいんだ
だけど作るべきではないのかもしれない
一歩間違えば
苦しみを与えることになりかねない
事実今の僕は
心のせいで
感情のせいで
悩み苦しんでいる
これを君に感じてほしくない
矛盾な考えを抱えながら
不安を緩和し眠る為の錠剤を口に運んだ